加藤勝信厚労相は16日の閣議後会見で、国内初の死亡例が明らかとなったコリネバクテリウム・ウルセランス感染症について注意喚起し、10日付けで同感染症に関するQ&Aを公表したことを明らかにした。
会見で加藤厚労相は2016年に死亡例が1例あったことを報告し、同症例に関して日本医療研究開発機構(AMED)の補助金で研究が行われ、最新の知見がQ&Aにまとめられたことを説明した。
Q&Aによると、同感染症は、ジフテリア菌と同様にコリネバクテリウム属に分類されるコリネバクテリウム・ウルセランスという細菌によって引き起こされ、ジフテリアによく似た症状を示す。人、犬、猫、牛のほか、様々な動物において感染事例が確認されており、咽喉頭、肺、皮膚、乳腺などに様々な症状を呈する。
臨床症状は基本的にジフテリアと類似。呼吸器感染の場合には、初期に風邪に似た症状を示し、その後、咽頭痛、咳などとともに、扁桃や咽頭などに偽膜形成や白苔を認めることがある。治療法は抗菌薬が有効であるとされており、国内においては、マクロライド系抗菌薬の使用による回復例が報告されている。
感染予防については、手洗いを確実に行うことなどにより感染のリスクが低減すると指摘。ワクチンに関しては、人に対する定期の予防接種の対象である3種混合(最近では4種混合)ワクチンにジフテリアトキソイド(ワクチン)が含まれており、このワクチンは同感染症に対しても有効と考えられているとした。
日本での発生状況は、2001年から昨年11月末までに国立感染症研究所が確認したのは25例。このうち死亡例の発生は16年5月。患者は福岡県の60代の女性で、屋外で猫3匹に餌やりをしていた。