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甲状腺癌スクリーニングを推奨せず【米国予防医学専門委員会(USPSTF)の勧告】

No.4893 (2018年02月03日発行) P.50

眞田麻梨恵 (日本医科大学内分泌外科)

登録日: 2018-02-03

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検診によるとされる甲状腺癌の過剰診断・治療が取り沙汰される中,米国予防医学専門委員会(USPSTF)は,無症状の成人に対する頸部触診や超音波を用いた甲状腺癌のスクリーニングは推奨しない(グレードD)とする勧告を行った1)

米国では甲状腺癌罹患率が他のがん腫に比べて急増しており,最近では年4.5%増加している。スクリーニングの有益性と有害性に関するレビュー2)の結果,エビデンスは不十分であるが,検診で発見されるような小さな乳頭癌は治療群と経過観察群の転帰に差がないこと,検診導入後も死亡率に変化がないことから,その有益性は小さいとした。一方,手術においては合併症が一定数発生するという事実と,集団検診で過剰診断・治療が相当数発生するとの間接的根拠により,その有害性は少なくとも中等度と評価した。ただし,甲状腺癌を疑う症候や放射線被ばく歴などの甲状腺癌発生危険因子を有する患者には適用されないことが明記された。

小さながんの手術が増えても,死亡率は不変であるという2006年の報告3)以来,甲状腺癌の過剰診断・治療が問題となってきた中で,検診抑止の勧告の意義は大きい。一方で,最近の米国の研究4)では,1974年以降,罹患率とともに死亡率も増加しているとの報告もあり,「真の」甲状腺癌増加に関係する環境要因の検討が必要である,との意見もある。

【文献】

1) US Preventive Services Task Force:JAMA. 2017;317(18):1882-7.

2) Lin JS, et al:JAMA. 2017;317(18):1888-903.

3) Davies L, et al:JAMA. 2006;295(18):2164-7.

4) Lim H, et al:JAMA. 2017;317(13):1338-48.

【解説】

眞田麻梨恵 日本医科大学内分泌外科

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