厚生労働省は9日、同省の「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」にオンライン診療のガイドライン案を提示した。医師・患者双方に情報セキュリティ対策を求めている。
ガイドライン案では、オンライン診療の情報セキュリティ対策について、医療情報を保存するシステムとの接続を行わないケースと、接続・連携するケースに区分。
接続を行わないケースのうち、医師がオンラインでリアルタイムの映像・音声を通じて患者を診療する際に映像・音声以外のデータのやり取りがない場合には、患者と医師に対し「本人認証」「端末にデータを残さない」「ウイルス対策ソフトの導入」「OS・ソフトウェアアップデート」等の対策を求める。オンライン診療システム・サービスに関しては、「データをシステム内に蓄積・残存させない」「アクセス権限の管理」「不正アクセス防止対策」「アクセスログの保全措置」「ウイルス対策ソフトの導入」「OS・ソフトウェアアップデート」等を求めることとした。
これに対し今村聡構成員(日本医師会)は、「ITリテラシーが相当高くないとオンライン診療はできない」と指摘。「オンライン診療のサービスを提供する事業者がかなりあると思うが、ガイドライン案に書かれていることを守っているかどうか医療側は判断が難しいので、第三者機関が質を担保し(適切な事業者を)認証する仕組みを活用してほしい」と要請した。さらに、「医師がオンライン診療の研修をすることも大事だ」と指摘したのに対し、厚労省担当官は「国がガイドラインを出す以上、(研修に)関与する必要がある。どういう研修体制が可能か考えていきたい」と応じた。
同検討会は今月中にガイドラインを取りまとめる予定。