2007年の日本眼科医会報告では,米国の視覚障害基準に準じて,良いほうの眼の矯正視力が0.5未満のロービジョン者は164万人,0.1以下の失明者は18.8万人と言われ,60歳以上が72%と多数である
2011年の厚生労働省調査では,視覚障害児・者は身体障害者手帳保持者が31万5000人で,そのうち18歳未満は4900人,18~64歳が9万1400人,65歳以上が21万7700人で,65歳以上の高齢者が2/3を占めている
糖尿病の早期発見,内科的治療や糖尿病網膜症に対する眼科的治療の進歩により視覚障害者は減り,現在の失明原因の第1位は緑内障である
視覚障害者へのリハビリテーションはロービジョンケアと言われ,眼科医療は大きな窓口でロービジョンリハビリテーションも行う
中高年者に対するロービジョンケアでは就労問題が大きい。また,高齢になるほどモチベーションが乏しくなりロービジョンケアは難しい
在宅・介護医療においてもロービジョンケアの必要性がある
わが国では,盲は一般にまったく見えない状態(眼科的失明)で,厚生労働省の定義では指数弁以下である(最近は指数弁を0.01に置き換える)。一方,WHOの基準では盲は良いほうの眼の矯正視力0.05未満,もしくはそれに相当する視野障害(視野が10度以内)がある場合で,ロービジョンは0.05~0.3未満である。また,米国では良いほうの眼の矯正視力0.1以下が盲,0.5未満がロービジョンで,WHOや米国の盲は「社会的失明」を意味する。
この米国基準に準じた2007年の日本眼科医会の報告では,ロービジョン者は164万人,盲人は18万8000人で,60歳以上が視覚障害者全体の72%を占めていた1)。また,2011年の厚生労働省調査では,視覚障害者の身体障害者手帳所持者は31万5000人で,そのうち18歳未満は4900人,18~64歳が9万1400人,65歳以上が21万7700人であった。65歳以上の高齢者が2/3を占めることを思えば2),高齢者へのロービジョンケアが喫緊の課題ということが明らかである。その原因疾患は,従来,多いほうから糖尿病網膜症,緑内障の順であったが,糖尿病の早期発見や内科的治療,糖尿病網膜症に対する眼科的治療の進歩により視覚障害者は減り,現在,失明原因の第1位は緑内障である。
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