アルコール問題とうつ病は併存することが多い。アルコール依存症ではうつ病の合併率が高く,逆にうつ病の背後にアルコール問題のあることも多い
アルコールは自殺のリスクを高めるが,その関係には少なくとも2つの面がある。1つは自殺行動直前のアルコール使用であり,もう1つは慢性的な多量飲酒による自殺リスクの増加である
わが国の自殺対策ではうつ病が重視されるが,自殺の背景でうつ病についで多いのがアルコール使用障害であり,自殺対策の中にアルコール関連問題への対策が含まれるべきである
世界では毎年100万人を超える人が自殺で死亡しており,わが国の厚生労働省人口動態統計(平成25年)においても,男性では15~44歳,女性では15~34歳の死因の第1位は自殺である。自殺による死亡者数は交通事故死者数の6倍以上に上る。
アルコール関連問題とうつ病は併存することが多いが,特にアルコール依存症とうつ病が併発した場合には自殺のリスクが相加的に高くなることが知られている。
一方,アルコールそのものも自殺のリスクを高める。その関係は単純ではなく,自殺直前の飲酒,慢性的な飲酒による自殺リスクの上昇など多岐に及ぶ。ここではアルコールとうつ病,自殺の関係について紹介する。
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