マンモグラフィによる乳がん検診では高濃度乳房における乳がんの検出率が低い
乳がん検診に超音波検査を併用すると乳がんの検出率が高くなる
超音波検診では特に精度管理が重要である
高濃度乳房とはマンモグラフィにおいて乳房内の乳腺が脂肪に比して多い状態である。
「マンモグラフィガイドライン」1)ではマンモグラフィにおける乳房の構成を4つに分類している。現在ではその名称が少し変更され,乳房構成は「脂肪性」「乳腺散在」「不均一高濃度」「極めて高濃度」に分類されており(図1),このうち「不均一高濃度」と「極めて高濃度」を併せて「高濃度乳房」と定義する2)。マンモグラフィで腫瘤として認識される乳がんは,脂肪よりは明らかに高濃度であるが,乳腺濃度と近いため,乳腺の多い乳房で乳がんが乳腺内にある場合や,乳腺と重なった場合には検出が困難な場合がある。乳房の構成は病変,特に乳がんが正常乳腺に隠されてしまう危険性の程度から分類するとされているが,視覚的な定性評価によるものである。乳腺は量のみではなく,その分布も様々であり,観察者によって判定が異なることが稀ではない3)。乳腺量を定量的に評価する試みもあり,販売されているソフトウェアもあるが,それが乳がんの隠されやすさを示しているかどうかの検討はまだ不十分である。
乳房の構成は年齢とともに変化する。若年者では通常乳房内の脂肪は少なく,妊娠期,授乳期には乳腺が増大することによりほぼすべての女性が高濃度乳房になる。その後,加齢とともに乳腺は委縮し,脂肪に置き換わっていく。しかし,これには個人差があり,40歳代でほぼ脂肪性の乳房の女性もいれば60歳代でも高濃度乳房の女性もいる。