日本神経学会の治療ガイドラインとして,『パーキンソン病治療ガイドライン2002』,続いて2011年に改訂版が発行された。このたび診断基準,病因,遺伝子,非運動症状など広く解説を加え,『パーキンソン病診療ガイドライン』が新たに発行される。
15年にInternational Parkinson and Movement Disorder Societyから新たに診断基準が提唱された。パーキンソン病は,パーキンソニズムとして動作緩慢がみられることが必須であり,加えて静止時振戦か筋強剛のどちらか1つがみられるものと定義されており,新ガイドラインでは本基準にも触れている。
14年にMindsから『診療ガイドライン作成の手引き』が改訂され,従来では各々の研究デザインがエビデンスレベルと称して区別されてまとめられていたが,新しいガイドラインではエビデンス総体の重要性が強調されている。また,臨床における疑問点がPICO〔患者(P:patients),介入(I:intervention),比較(C:comparison),結論(O:outcome)〕に則って作成された。重要なアウトカムに関連した研究を抽出してメタ解析を行い,Gradeの質の判定基準に則って推奨レベルを選定している。
治療ではドパミンアゴニスト徐放剤,貼付剤,L-ドパ・DCI・COMT阻害薬配合剤,アポモルヒネ皮下注,イストラデフィリン,L-ドパ持続的経腸療法などの新規治療法の項目を設けている。
画像診断では123I-MIBG心筋シンチグラフィー,123I-FP-CIT-SPECTによる新たな検査手法に基づいて説明がなされている。
【解説】
小仲 邦*1,望月秀樹*2 *1大阪大学神経内科 *2同教授