日本医師会は11日、医師の時間外労働規制について医療界が意見集約して上限時間数を設定すべきとの見解を盛り込んだ「医師の働き方検討委員会」(委員長=相澤好治北里大名誉教授)の報告書を公表した。
報告書では医師の時間外労働について、産業保健活動など勤務医のための健康管理の体制整備を大前提としつつ、上限を「医師の特別条項」として設定する必要性を指摘。具体的な時間数については、いわゆる「過労死ライン」や医師の労働時間の分布などを基に設定することを提言。政府が今国会に提出した「働き方改革関連法案」で自動車運転業や建設業に適用するとされている時間数も参考にすべきとした。
報告書はまた、医師の業務の特殊性を踏まえた労働時間制度として、専門業務型裁量労働制の対象範囲の見直しも求めている。現行では大学病院の講師以上を対象としているが、助教等にも適用し、臨床研究などを実施する一部の一般病院への制度の導入も検討すべきとした。
日医は今月、日医や四病院団体協議会の幹部、若手勤務医などを構成員とする「医師の働き方検討会議」の初会合を開く予定で、同報告書が議論のたたき台になると見込まれる。同会議は6月をメドに提言をまとめ、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」に医療界の総意として発表する方針だ。