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心に残った症例[プラタナス]

No.4904 (2018年04月21日発行) P.6

小野正博 (東京都立松沢病院内科部長)

登録日: 2018-04-23

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  • 東京都立松沢病院に勤務して丸2年になる。松沢病院は800床の精神病院で、その中の合併症病棟を担当している。合併症病棟とは精神疾患と内科や外科などの身体疾患を合併して持っている患者さんが入院する病棟だ。精神科医が常駐し、一緒に診療している。身体疾患の対応が困難な精神病院、精神疾患の対応が困難な一般病院やクリニックなどからご紹介をいただいている。

    あるとき肺炎と間質性肺炎の診断で他院に入院していた60代男性が自殺未遂をしたため、当院に転院してきた。3週間前から胸痛、呼吸困難が出現し、2週間前から入院中だったが、点滴のルートを首に巻き、一時呼吸停止になったという。

    本人に聞くと、人生最大の痛みで、痛くてのたうち回ると言う。喫煙歴と肺癌の家族歴があった。頻脈、頻呼吸があり、酸素は8Lリザーバーマスクだった。身体所見上、左頸部に2cm大のリンパ節を2個触知し、左背部にfine crackleを聴取した。胸痛は胸骨下部が最強で、少し触ったり、打診をしただけで猛烈に痛がった。発赤や腫脹はなく、何故それほど痛がるのかわからなかった。

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