4月から先進医療として進行・再発固形がんを対象に実施されているマルチプレックス遺伝子パネル検査について、25日の中央社会保険医療協議会総会の中で診療側委員が技術の限界を適切に患者に伝える必要性を指摘した。
マルチプレックス遺伝子パネル検査は、将来的な保険導入の評価を行うために保険診療との併用を認める先進医療として国立がん研究センター中央病院が申請し、厚生労働省の先進医療会議がこれを了承。今月から16歳以上の治療切除不能または再発の原発不明がん、標準治療がない固形がんなどの患者に実施されている。
25日の中医協ではマルチプレックス遺伝子パネル検査の概要が厚労省から報告された。それによると、臨床研究では被験者数252例のうち207例で解析結果が得られ、108例で遺伝子変異が認められたものの、治験薬の使用につながったのは、この中の一部。また、同検査は114の遺伝子の変異の有無を一括して検出するもので、このうち48の遺伝子は治療薬との相関があるものの、実際に治療につながる遺伝子は1割程度だとする。このほか、検査費用66万4000円のうち、患者負担は46万6000円に上る。
松本純一委員(日本医師会)は「(検査費用の)患者負担がありながら、治療に結びつかないのが大半なのではないか」と指摘。先進医療会議の総評の中で「本技術の有用性と限界が正確に被験者に伝わることを確認する必要がある」と指摘していることに触れ、その徹底を要請した。また今村聡委員(日本医師会)も、患者に対してデータに基づいた説明を行うことの重要性を強調した。