厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」は23日、2020年度以降の医学部定員に関する報告書案を取りまとめた。20年度、21年度については定員を維持し、22年度以降は減員する必要性を指摘した。
この報告書「第3次中間取りまとめ」は、近く開催予定の「医療従事者の需給に関する検討会」と同分科会との合同会議で審議される。
同分科会は、医学部定員の臨時増が2019年度で期限切れになることを踏まえ、20年度以降の定員に関する議論を3月から開始していた。臨時増の措置は2016年に厚労省が示した医師の需給推計に基づき行われたため、同省は今回も将来にわたる医師の需給推計を提示。地域ごとの病床機能別の必要医師数などを基に算出した前回の手法を踏襲しつつ、今回は2018年度の医学部定員数を今後続けると仮定して、最新データを用いて精緻化。その上で医師の労働時間上限と業務削減などの仮定を3パターンに分類した。
その結果、いずれのケースも長期的には供給が需要を上回った。月80時間相当に時間外・休日労働を制限したケースでは「2020年度の医学部入学者が臨床研修を修了する2028年度頃に、全国レベルの医師需給が均衡する」と見込まれた。
そのため報告書では、今後、医師の偏在対策、労働時間短縮に向けた取り組みが進む予定であることや、過去最大級の医学部定員の増員を行っていることを踏まえ、「全国でさらに医学部定員を増員する必要はない」と明記。20年度、21年度については「暫定的に現状の医学部定員を概ね維持」とする一方で、22年度以降については「減員に向けて、医師養成数の方針等について見直していくべき」と指摘した。