小児の予防可能死が約3割に上る─。日本小児科学会の「子どもの死亡登録・検証委員会」は群馬県・東京都・京都府・北九州市の4地域を対象にパイロット研究を実施。2011年の小児死亡事例(368例)を検証した。研究では、死因となった病態に応じて事例をグループ化。監護者の過失の程度、予防手段・治療法の確立の程度、リスク回避の可否などを考慮しながら9段階のトリアージに分類した結果、ネグレクト事例の親権停止・一時保護の有効活用や乳幼児揺さぶられ症候群の予防啓発、車両発進時の人/物検知・緊急停止システムの普及などによって死亡が防げた事例があったという。
研究によると、予防可能死などのうち虐待可能性が中等度以上と判断された事例も7.3%を占める。年間約5000例の小児死亡数に掛け合わせると、虐待死の可能性がある事例は年間350例程度存在することになる。一方、検証されているのは年間90例程度。虐待死の多くは見逃されているという実態が見えてきた。
こうした取り組みは、小児死亡事例を詳細に検証することで小児死亡の減少を目指すチャイルド・デス・レビュー(CDR)として注目を浴びている。1978年に米ロサンゼルスで開始され、欧米を中心に31カ国で法制化が進む(2016年時点、図1)。