□脳動脈の閉塞や狭窄により虚血性脳損傷が生じ,様々な神経症候を急性発症する病態を脳梗塞といい,脳卒中全体の約75%を占める1)。
□脳動脈閉塞の機序とその部位により,①ラクナ梗塞,②アテローム血栓性脳梗塞,③心原性脳塞栓症,④その他の脳梗塞,に大別される。
□発症3時間以内(2012年より4.5時間以内)のrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法が2005年に国内承認され,2015年には発症8時間以内の経皮経管的脳血栓回収術の治療効果が証明された。このように,本疾患の超急性期治療は飛躍的発展を遂げつつある2)3)。
□梗塞巣の部位,大きさにより様々な神経症候が急性発症することが特徴である。
□片麻痺(40~55%),構音障害(20~35%),意識障害(3~30%),失語(3~35%)が高頻度。
□大脳深部や橋底部の小梗塞巣(径1.5cm以内)が特徴のラクナ梗塞では,片麻痺,構音障害,感覚障害など単純な症候が多く(ラクナ症候群),梗塞巣が比較的大きいアテローム血栓性脳梗塞,心原性脳塞栓症では,意識障害や失語,半側無視などの皮質症候の合併が多い(10~35%)1)。
□急性期の病巣検出には,頭部MRI,特に拡散強調画像(diffusion weighted image:DWI)が最も鋭敏。病巣診断には頭部CTも使われる。
□血管狭窄・閉塞の診断に頭部MRアンギオグラフィ(MRA),CTアンギオグラフィ(CTA),頸部血管エコー,経頭蓋ドプラ,脳血管撮影などが用いられる。
□原因検索のための採血(brain natriuretic peptide:BNPなど),心電図,心エコー図(特に経食道),下肢血管エコーなど。
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