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脊髄血管障害

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
安藤哲朗 (安城更生病院神経内科代表部長)
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  • ■疾患メモ

    脊髄血管障害(vascular disorders of the spinal cord)の頻度は脳血管障害の2%以下。

    脊髄梗塞には,動脈性と静脈性がある。

    脊髄出血は髄内出血と髄外出血(くも膜下出血,硬膜下出血,硬膜外出血)に分類される。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    〈動脈性脊髄梗塞〉

    脊髄の前側が障害される前脊髄動脈症候群では,背部痛を伴って四肢麻痺もしくは対麻痺が突然発症する。早期からの膀胱直腸障害,解離性感覚障害(触覚が保たれ温痛覚が障害)が特徴。後脊髄動脈症候群は,深部感覚障害を呈する。いずれも一側性と両側性とがある1)2)

    〈静脈性脊髄梗塞〉

    多くは脊髄硬膜動静脈瘻によるもので,下部胸髄から腰仙髄にかけての病変が多い。

    静脈うっ滞による脊髄障害により両下肢のしびれ,運動麻痺,排尿障害が亜急性から慢性に進行する3)

    〈脊髄出血〉

    脊髄内出血では,突然発症の脊髄症を起こす。

    疼痛を伴って強い対麻痺または四肢麻痺を起こすことが多いが,海綿状血管腫からの出血の場合は,比較的軽い症状の場合もある。

    頸椎部の硬膜外出血では,片麻痺を呈して脳梗塞と症候が類似する場合がある。

    【検査所見】

    〈MRI〉

    想定される病変レベルのMRIを撮影して腫瘍や椎間板ヘルニアなどの圧迫性病変をまず鑑別する必要がある。

    動脈性梗塞では,T2強調画像で高信号と軽度の脊髄腫脹を認めることがあるが,異常所見を認めない場合もある。

    静脈性梗塞は脊髄の上下に長い腫脹と脊髄の中心部を中心としたT2高信号を認める。脊髄硬膜動静脈瘻から動脈の高い圧力により拡張・蛇行した異常血管がくも膜下腔のflow void,または造影されることが診断に重要で,疑う場合は脊髄血管造影が必要である。

    硬膜外出血では,硬膜外の出血による脊髄の圧迫を認める。

    脊髄内出血では,急性期には脊髄が腫大し,T2強調画像では低信号と高信号が混在する。数日後にはT1強調画像で高信号を示すようになる。gradient echo法によるT2強調画像で低信号を認めることが診断に有用である。

    〈髄液所見〉

    くも膜下出血では,髄液が血性となる。脊髄梗塞では通常は細胞数が増加しない点が,脊髄炎との鑑別上重要である。髄液蛋白は軽度増加することがある。

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