□脳膿瘍の日本における罹患率は明確ではないが,他の先進国においては人口10万人当たり0.4~0.9人と報告されている。
□発症様式としては,隣接部位の感染症の直接進展による発症,外傷・手術後の発症,血行性播種による発症,免疫不全を背景とした発症などがあり,それぞれ原因微生物の種類が異なる。
□治療は膿瘍ドレナージと脳膿瘍移行が良好な抗菌薬の高用量・長期の投与で構成され,脳神経外科,感染症科など関係する診療科との連携が重要である。
□古典的三徴は「発熱」「頭痛」「神経脱落症状」である。頭痛は70%程度の患者に認められるが,発熱はしばしば認めず,三徴がすべてそろう症例は半数以下にすぎない。
□膿瘍の部位や大きさ,周囲の浮腫の程度により意識障害,悪心・嘔吐,痙攣なども生じうる。
□血液検査所見は診断には有用ではない。白血球数やCRP値の上昇がない例にもしばしば遭遇する。
□頭部CT,頭部MRIでリング状の造影効果を伴う脳内の占拠性病変を認める。発症初期にはCTでは病変の存在が不明確な場合もある。MRIの拡散強調画像では病変は高度の高信号を示し,腫瘍性疾患などのほかの脳占拠性病変との鑑別に有用とされる。
□確定診断は病変部の穿刺吸引検体・生検検体の微生物学的検査により得られる。
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