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多発性内分泌腫瘍症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
櫻井晃洋 (札幌医科大学医学部遺伝医学教授)
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  • ■疾患メモ

    複数の内分泌腫瘍,さらに非内分泌腫瘍が異時性,多発性に発生する常染色体優性遺伝性疾患である。

    多発性内分泌腫瘍症1型(multiple endocrine neoplasia type 1:MEN1)と多発性内分泌腫瘍症2型(multiple endocrine neoplasia type 2:MEN2)が知られているが,前者はがん抑制遺伝子MEN1の機能喪失型変異,後者はがん遺伝子RETの機能獲得型変異によるもので,両者は別個の疾患である。

    MEN1,MEN2のいずれもおおよそ3~4万人に1人程度の頻度と考えられている。

    ■代表的症状・検査所見

    MEN1,MEN2で発症する病変を表1,2にまとめた。

    10_44_多発性内分泌腫瘍症

    【症状】

    〈MEN1〉

    副甲状腺機能亢進症による消化性潰瘍,尿路結石,骨密度低下。

    機能性膵消化管神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)による消化性潰瘍(ガストリノーマ),低血糖(インスリノーマ),高血糖,皮疹(グルカゴノーマ)。

    下垂体腫瘍による頭痛,視野狭窄,先端巨大症,乳汁分泌,無月経。

    〈MEN2〉

    甲状腺髄様癌は,腫瘤の触知以外の症状はない。

    褐色細胞腫による動悸,発汗,血圧上昇。

    顔貌変化(MEN2B)。

    【検査所見】

    〈MEN1〉

    カルシウム,PTH高値(副甲状腺機能亢進症)。

    膵消化管ホルモン(ガストリン,インスリン,グルカゴン)高値。

    下垂体ホルモン(主にGH,プロラクチン)高値。

    画像検査による腫瘍の描出。

    MEN1遺伝子の機能喪失型変異。

    〈MEN2〉

    カルシトニン,CEA高値(甲状腺髄様癌)。

    血中・尿中カテコラミン高値(褐色細胞腫)。

    画像検査による腫瘍の描出。

    RET遺伝子の機能獲得型変異。

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