ノボノルディスクファーマは1月30日、世界初となる週1回投与型の基礎インスリン製剤「アウィクリ注」(一般名:インスリン イコデク)を発売した。通常1日1回もしくは2回投与が必要な従来型に比べ投与回数を大幅に減らせるため、患者の治療負担の軽減が期待されている。
アウィクリは皮下投与後、可逆的にアルブミンと結合するが、緩徐にアルブミンから解離しインスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたって持続する。
30日に同社が開いたセミナーで講演した順天堂大大学院代謝内分泌内科学教授の綿田裕孝氏(写真)は、頻回投与が患者のインスリン治療を阻害する要因になっていることを指摘。「週1回投与になることで、認知症などにより自分で注射ができない高齢患者のようなこれまでインスリン導入が難しかった患者にも導入が可能になる」と解説した。
綿田氏は同剤について、高い利便性とQOLの改善効果、患者の治療抵抗感の軽減から「インスリン治療の第一の選択肢になり得る」としながら、一度投与すると1週間用量が変えられない点や、急な病状変化に対応しにくい点を指摘し、個々の患者の病状と社会的状況にあわせた適切な薬剤選択の必要性を強調した。
「アウィクリ」の用法・用量
成人では1週間に1回皮下注射。初期は通常1回30~140単位とし、患者の状態に応じて適宜増減
(他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1週間あたり30~560単位)