□月経とは,「約1カ月の間隔で起こり,限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と定義されている。
□月経発来は,視床下部-下垂体-卵巣-子宮内膜の連鎖により制御されている。
□視床下部視索前野の神経細胞からパルス状に分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(gonadotropin releasing hormone:GnRH)は,下垂体前葉から卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone:FSH)と黄体化ホルモン(luteinizing hormone:LH)を分泌させる。
□主にFSHにより卵巣での卵胞発育と,顆粒膜細胞からのエストロゲン分泌が促進され,子宮内膜は増殖期となる。LHサージ開始の約36~40時間後,ピークの10~12時間後に排卵が起こり,黄体の莢膜細胞から分泌されるプロゲステロンにより子宮内膜は分泌期となる。
□妊娠が成立しない場合は,黄体の寿命は約2週間のため退縮し,白体となる。それに伴うエストロゲン,プロゲステロンの低下により月経が発来する(消退出血)。
□正常の月経周期は25~38日,その変動が6日以内である。月経周期が24日以内の月経を頻発月経,月経周期が39日以上の月経を希発月経という1)。
□無月経は生理的無月経(妊娠・産褥・授乳・閉経における無月経)と,病的無月経に分類される。病的無月経は,続発無月経(既存の月経が3カ月以上停止)と,原発性無月経(満18歳になっても初経を認めない)2)に分類される(表)3)。また,プロゲステロンの投与,エストロゲン・プロゲステロンの投与により月経が招来されるものをそれぞれ第1度無月経,第2度無月経に分類する(図)。
□妊娠の可能性を常に考慮し,妊娠の可能性を否定できない場合は,妊娠検査を行う。
□問診:初経の有無,家族歴,発達発育歴,妊娠分娩歴,分娩時大量出血の既往,子宮内容除去術・子宮頸部円錐切除術の既往,体重,運動・精神的ストレスの有無,服用薬剤,乳汁分泌の有無,放射線治療・抗癌剤治療の有無,卵巣手術・鼠径ヘルニア手術の有無。
□身体所見:低身長,肥満,翼状頸,外反肘の有無,嗅覚異常,視力障害,乳房発育・恥毛など二次性徴の有無,男性化兆候の有無,腟の有無。
□画像検査:経腟・経腹超音波検査,MRI。
□ホルモン検査:FSH,LH,エスラジオール,テストステロン,プロラクチン,甲状腺刺激ホルモン。異常部位の検索(視床下部,下垂体,卵巣)。FSH,LHがともに正常~低値の場合はGnRH負荷試験を行う。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより