□卵巣に生じる嚢胞性病変には,腫瘍性病変としての漿液性・粘液性腫瘍や奇形腫である類皮嚢胞腫などのいわゆる卵巣腫瘍のほかに,非腫瘍性病変として機能性嚢胞に分類される卵巣嚢胞,出血性黄体嚢胞,さらに類腫瘍性病変として子宮内膜症性嚢胞などの様々な病変が存在する。
□そのほか,卵巣以外の骨盤内に嚢胞を形成する疾患との鑑別が必要である(表)。
□一般に無症状である。
□巨大なものでも,軽度の圧迫症状程度のみの場合もある。
□一般検診など,婦人科以外の診療科で偶然指摘される場合も多い。
□捻転,破裂を生じた場合,悪心,嘔吐,圧痛,筋性防御など腹膜刺激症状を呈し,婦人科救急疾患として緊急手術の対象となる。
□卵巣腫瘍,卵巣過剰刺激症候群,子宮筋腫(液状変性の漿膜下筋腫),骨盤内炎症性疾患(卵巣卵管膿瘍,ダグラス窩膿瘍),子宮内膜症(子宮内膜症性嚢胞)などは,別項を参照。
□症状の有無にかかわらず,既に何らかの画像診断で骨盤内に嚢胞性病変が指摘され診断される。
□経腟超音波での良悪性の鑑別は90%程度の正診率があり,費用対効果に優れ,低侵襲である。
□年齢(閉経前か閉経後か),大きさ,片側か両側か,単房か多房か,隔壁,嚢胞部分,充実部分,ダグラス窩流動性液体の有無などで大部分は鑑別可能である。
□悪性を疑う場合は,MRIや腫瘍マーカーが補助診断として有用である。
□捻転,破裂,出血,膿瘍などで急性腹症を呈する場合は,血算,生化,凝固線溶系などで貧血,炎症,凝固異常の程度を判断し,緊急手術に備える。
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