□子宮頸癌とは子宮頸部に原発したがんであり,子宮頸部上皮内腫瘍とは,一般的に子宮頸癌の前がん病変および従来からの呼称の上皮内癌を示す。
□子宮頸部上皮内腫瘍は,現在3種類の呼称と分類方法がある(表1)。
①病変を異形成(軽度・中等度・高度)と上皮内癌にわける。従来用いられていた1)。
②病変を頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia:CIN)とし,ClN1,ClN2,ClN3の3段階にわける。現在の取扱い規約2)に記載がある。
③HPV(human papilloma virus)感染との関係を重視したベセスダシステム(Bethesda system)のsquamous cell intraepithelial lesion(SlL)の概念。
□本項ではCINの呼称を用いる。
□子宮頸癌のリスクファクターとして,HPV感染は特に重要である。子宮頸癌のほぼ100%からHPVウイルス遺伝子が検出され,HPV感染が子宮頸癌発生と関係していると言える。
□CINはほとんど症状はなく,子宮頸がん検診で発見される。
□子宮頸癌も初期であれば症状のないことも多いが,浸潤癌になると性交後出血,不正出血を呈する。
□一般的にCINあるいは初期子宮頸癌は無症状で受診し,細胞診で異常が指摘され,それをきっかけとしてコルポスコピー,ねらい組織診にて病理学的に診断される。クスコ診にて肉眼的に腫瘍が確認できれば診断は容易である。
□細胞診,組織診にて病理学的な診断を確定することで,次に臨床進行期(表2)の診断に移る。
□ⅠA期が疑われるときには,一般的には子宮頸部円錐切除術を施行し進行期診断を行う。
□ⅠB期以上に診断されたときには,画像診断(MRI, CT,PET─CT)を用いて,腫瘍径の評価,遠隔転移の評価を行う。一般的に画像診断で描出可能病変はⅠB期以上の例である。
□局所進展の評価にはMRI,遠隔転移診断にはCTが勧められる。
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