子宮頸癌は,子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia:CIN)や上皮内腺癌(adenocarcinoma in situ:AIS)を経て子宮頸部から発生する悪性腫瘍である。CINは異型細胞の広がりにより,CIN1,CIN2,CIN3にわかれ,CIN3は高度異形成と上皮内癌を含んでいる。大部分はヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)が原因であり,組織型は扁平上皮癌が最多で約75%を占める。近年は腺癌の割合も上昇している。
CINやAIS,初期浸潤癌の場合は無症状で,検診を契機に子宮頸部細胞診で診断されることが多い。進行例では性交後出血,痛みのない間欠性出血や腰腹部の痛みを伴う出血がみられる。膀胱・直腸浸潤,リンパ節転移がある場合は,それらによる症状を伴うこともある。
肉眼的な観察で浸潤癌を疑う所見があれば,生検による組織診を行う。ステージングは内診や直腸診といった診察,MRIやCTなどの画像検査を組み合わせて評価する。扁平上皮癌であれば,血中腫瘍マーカーであるSCCが上昇することもある。
肉眼的に異常がなく子宮頸部細胞診で異常が指摘された場合は,コルポスコピーを用いて組織診を行う。組織診で浸潤癌が否定できない場合は,円錐切除術により正確な診断を行う。
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