□生殖期から老年期への移行期を更年期と言い,この時期に現れる多種多様な更年期症状のうち,日常生活に支障をきたすものを更年期障害という。
□卵巣機能低下に伴う内分泌学的変化(主としてエストロゲンの低下)により生じ,これに加齢による身体的変化,精神・心理的な要因,社会文化的な環境因子などが複雑に関与する。
□他の器質的変化によらない,自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群。自律神経失調症状,精神的症状,その他の症状に大別される(表1)1)。
□更年期女性において12カ月以上無月経が続いた場合,閉経と診断する。12カ月未満,子宮摘出後の女性では卵胞刺激ホルモン(follicle–stimulating hormone:FSH)値40mIU/mL以上,かつエストラジオール(estradiol:E2)値20pg/mL以下の場合,閉経と診断してもよい。
□更年期障害に明確な診断基準はなく,診断には詳細な問診が必要である。日本人女性の更年期症状評価表2)は症状の客観的評価,治療効果の判定に有用である。
□気分障害を訴える更年期女性ではSDS(self-rating depression scale)やSRQ-D(self-rating questionnaire for depression)などの問診票を用い,不定愁訴と抑うつを鑑別する。
□女性に多くみられる甲状腺機能障害では更年期障害と類似した症状が多く,鑑別のため甲状腺機能検査も行う。
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