□子宮筋層および子宮漿膜に生じる裂傷を指し,母児双方にとって致死的となる可能性がある重症妊娠合併症である。子宮破裂の約9割は帝王切開や筋腫核出術などの子宮手術によって筋層が脆弱となった妊婦に生じる瘢痕性子宮破裂であり1)2),その頻度は0.3~1.0%である3)4)。
□先進国における子宮破裂の多くは,帝王切開既往妊婦における経腟分娩の試行(trial of labor after cesarean section:TOLAC)において生じる。TOLACには入院期間の短縮,輸血や産褥熱の減少といったメリットがある5)反面,予定帝王切開に比べて子宮破裂の頻度は約3.5倍に上昇する4)。
□子宮手術の既往がない症例に生じる非瘢痕性子宮破裂は1例/5000~2万妊娠と稀であり2)6),陣痛誘発,産科的手技(クリステレル圧出法,外回転),遷延分娩,巨大児,多胎,癒着胎盤などが原因となりうる7)8)。
□自覚症状:腹痛,少量の性器出血,陣痛の減弱,ショック症状(蒼白,冷汗)。
□理学所見:バンドル収縮輪,児先進部の挙上・消失,腹膜刺激徴候,内診での子宮裂孔触知,頻脈,血圧低下。
□血液検査:貧血,凝固異常。
□胎児心拍陣痛図:胎児心拍異常(遷延一過性徐脈,徐脈),過強陣痛。
□超音波断層法:腹水,子宮筋層の破綻,破裂部の血腫,胎児や胎胞の子宮外脱出。胎胞の子宮外脱出における開腹時の所見を図に示す。
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