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前置胎盤・低置胎盤[私の治療]

No.5238 (2024年09月14日発行) P.54

宋 吉和 (杏林大学医学部産科婦人科学教室)

登録日: 2024-09-17

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  • 前置胎盤は子宮口を胎盤が覆う疾患であり,その程度により全前置胎盤,部分前置胎盤,辺縁前置胎盤に分類される。頻度はアジア人で高く,日本人では1000人当たり5~15人程度である。
    また,胎盤が子宮口を覆わないものの,胎盤辺縁が子宮口から2cm未満の場合には低置胎盤と診断する。

    ▶診断のポイント

    前置胎盤は,「胎盤が正常より低い部位の子宮壁に付着し,組織学的内子宮口を覆うかその辺縁が内子宮口にかかる状態」を言う。組織学的内子宮口を覆う程度により,①全前置胎盤,②部分前置胎盤,③辺縁前置胎盤,に分類される。

    診断は経腟超音波断層法で行い,①は組織学的内子宮口を覆う胎盤の辺縁から同子宮口までの最短距離が2cm以上,②は同距離が2cm未満,③は同距離がほぼ0cmの状態,にそれぞれ相当する1)。全前置胎盤では,全方位方向にわたり2cm以上胎盤辺縁が組織学的内子宮口より離れている必要があるため,経腟超音波断層法が重要となる。

    診断のポイントは診断時期と組織学的内子宮口の同定である。子宮口増大や子宮下節の伸長に伴い,子宮口と胎盤辺縁の見かけの位置関係が変化するため,妊娠20週以降を確認する週数とし,遅くとも妊娠31週までには診断を完了させる。

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