□分娩後の子宮を中心とした女性生殖器感染症であり,分娩終了後24時間以降,産褥10日以内に2日間以上38℃以上の発熱が続く場合と定義される1)。ただし,乳腺炎や腎盂腎炎などの,女性生殖器以外の熱源は除外される。
□腟内細菌の上行性感染が原因であるとされ,産道損傷,卵膜遺残,悪露の滞留などの分娩時の異常や頸管拡張,胎盤用手剥離などの産科処置,あるいは前期破水,絨毛膜羊膜炎などの妊娠中からの子宮内感染からの移行など,感染の背景は多岐にわたる。
□産褥2~5日に出現する弛張熱と下腹部痛が特徴で,悪臭のある悪露や膿性悪露を認めることもある。
□感染は通常子宮内膜から始まり,子宮筋層,子宮付属器の順に徐々に波及し,重症化すると骨盤内腹膜炎や敗血症やDICに至る2)。
□内診時に子宮および子宮付属器に圧痛がある場合は,子宮周囲に炎症が進展している。骨盤内腹膜炎になれば,下腹部の筋性防御や反跳痛を認める。
□血液検査では通常の炎症所見(白血球,CRPなどの上昇)に加え,血中プロカルシトニンの上昇,敗血症やDICになれば凝固系異常などを伴う3)。
□腟分泌物培養,血液培養で起炎菌の同定が有用である。起炎菌ではブドウ球菌や溶血性レンサ球菌などのグラム陽性菌が主であるが,近年では大腸菌,緑膿菌などのグラム陰性菌,バクテロイデスなどの嫌気性菌,MRSA,VRE,ESBLなどの耐性菌が問題となっている。
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