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チック

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-29
金生由紀子 (東京大学大学院医学系研究科こころの発達医学分野准教授)
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  • ■疾患メモ

    チック(tic)は,ICD-10によれば子どもの5~10人に1人は経験するとされるほど一般的である。

    チックを主症状とする症候群がチック症(tic disorder)である。18歳以前に発症するチック症は,チックの種類と持続期間から,トゥレット症候群,持続性(慢性)運動または音声チック症,暫定的チック症,の3つにわけられる。

    多彩な運動チックと1つ以上の音声チックを有して,チックが発症から1年以上持続している場合に,トゥレット症候群(Tourette's disorder)と診断される。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    チックは,突発的,急速,反復性,非律動性の運動あるいは発声であると定義されている。

    チックには運動チックと音声チックがあり,それぞれが,典型的な単純チックと,それより持続時間がやや長くて意味があるようにみえる複雑チックにわけられる。

    単純運動チックは最も一般的なチックであり,その中でも瞬きなどの目のチックが最も多い。単純音声チックでは,咳払いが最も多い。

    チックの出現前に「やらずにいられない」とか「むずむずする」という感覚をしばしば体験する。これは前駆衝動と呼ばれる。

    チックは,一時的または部分的であれば,随意的抑制が可能なことがある。

    チックは種類や回数や強さなどがしばしば変動する。変動は自然の経過で生じることもあれば,心理的要因の影響によることもある。

    【検査所見】

    丁寧な病歴の聴取と行動観察から得られた臨床症状に基づいて診断がなされ,特に臨床検査を要しない。

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