編著: | 大路 剛(神戸大学医学部附属病院感染症内科准教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 172頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2018年10月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6658-5 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
第1章 プライマリケアで性行為感染症を診る際に必要な基本的知識
1 性行為感染症とは
2 性行為感染症の一般的な予防
3 妊婦における性行為感染症のスクリーニング
4 患者層ごとの性行為感染症対策
第2章 各疾患の診かた─プライマリケア医が診る際のポイントとコツ
5 梅毒
6 淋菌
7 クラミジア・トラコマティスとMycoplasma genitalium
8 性行為によって感染する肝炎ウイルス─A型,B型,C型,D型,E型
9 HIV
10 性行為感染症とヘルペス属─性器ヘルペスからカポジ肉腫まで
11 先進国で比較的稀な性行為感染症
12 性行為によって感染する原虫・蠕虫症と外部寄生節足動物
第3章 性行為感染症診療で押さえておきたい問題
13 性行為後の排尿時痛,帯下,陰部潰瘍
14 骨盤内炎症性疾患(PID)全般
15 性風俗産業従事者(CSW)のヘルスメンテナンス─男性CSWおよび女性CSWについて
16 rape victimの対応について─成人,子どもの外傷ケア,曝露後予防
巻頭言
性行為感染症(sexually transmitted disease;STD)はどの科が診療する病気かはっきりしないところがあるかもしれません。実際,性器に病変がある場合,男性は泌尿器科や性病科に,女性は産婦人科に行くことが多いでしょう。しかし,女性の場合は外性器の病変に気づかず,梅毒の初診は皮疹から皮膚科医に,また発熱から内科医に受診することも少なくありません。
このようにSTDはかかりつけ医も含め,患者が様々な診療科を受診する疾患であることを忘れてはなりません。受診された診療科ではSTDを診断しても,慣れていなければどのように対処,治療してよいか戸惑うかもしれません。すべてを専門家に紹介することは難しいですし,また性暴力被害者に対してや,各種曝露後予防などはその場で対応する必要があります。
本書はSTD患者を診る可能性のある診療科の先生の仕事場の片隅に置いて頂き,困ったときに開いて頂くことを目的に執筆いたしました。
1章では基本的なSTD対策やスクリーニングなどについて概説しています。ここは寝転んで読んで頂ければ幸いです。2章では診療の機会が多い梅毒,淋菌や様々な肝炎ウイルス,疥癬やケジラミなどを各論としてまとめました。外来での検査や入院治療における各疾患の診断・治療に役立ちます。3章では実臨床で困りがちな問題についてまとめました。特に3章13では,受診動機として多い性器の自覚症状の異常からの鑑別診断と治療について執筆して頂きました。現場で悩む性暴力被害者への対応も,STD予防以外の避妊法などを加えて3章16にまとめて頂きました。
本書が入院診療,外来診療を問わず,現場でのSTD診療の一助となることを願っております。
神戸大学医学部附属病院感染症内科准教授 大路 剛