編著: | 山本舜悟(京都大学医学部附属病院臨床研究教育・研修部特定助教) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 200頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2019年02月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6660-8 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
■好評を博した初版の刊行から早6年。昨今の肺炎診療における著しい変化に対応し、最新の知見を盛り込んだ待望の改訂版が登場です!
■日本呼吸器学会が公表した『成人肺炎診療ガイドライン2017』の内容を反映しながら、市中肺炎の診療や病原体ごとの診療上の注意点、そして高齢者の肺炎と引き際などについて解説しています。
■改訂版でも、呼吸器や感染症の非専門医が「肺炎に立ち向かう」にあたって助けになるようなテキストというコンセプトを継承。外来診療に関わる項目は書籍本体で、病院でみる肺炎(重症肺炎や院内肺炎、特殊な患者の診療など)については付属の電子版で読むことができます。
第1章 市中肺炎の診断はどうする?
第2章 病院での市中肺炎の治療─症例に応じたベストチョイスを!
第3章 高齢者の肺炎と引き際について
第4章 ゼッタイ押さえておきたい!病原体ごとに異なる診療上の注意点
第5章 知っておきたい特殊な患者における診療上の注意点:外来編
第6章 肺炎は予防も大事!
第7章 お悩みQ&A─ほかの先生はどうしているの?こんなとき!
【電子版】eChapter 病院でみる肺炎
第1章 市中肺炎の診断はどうする?
1 肺炎の診断をする前に押さえておきたいこと─「肺炎」と「かぜ」の見わけ方
2 市中肺炎の診断に身体診察でどこまで迫れるか?その限界は?
3 グラム染色と培養検査の活かし方─よい検体の取り方
4 「診療所」での肺炎診療─治療の実際,いつ病院への紹介が必要?
5 尿中抗原,抗体検査の使い方
6 肺炎を「見抜く」ための画像検査─X線とCTの適応と読影上の注意,見逃しやすいポイント
7 そっくり症状に惑わされず肺炎と心不全を見わける方法
8 結核が疑われたときにキノロンを避けるべきケース,使ってもよいケース
9 重症度分類の使い方とその限界を知っておこう!─A-DROP,CURB-65,CRB-65,PSI
第2章 病院での市中肺炎の治療─症例に応じたベストチョイスを!
10 重症度に応じた治療薬の選択方法─非定型肺炎をいつカバーするか?
11 経過観察の仕方と治療期間の決定─内服薬への変更のタイミングとフォローアップ
12 「よくならない場合」に何を考えるか?─自然経過,肺炎随伴性胸水,膿胸,ほかの原因など
13 非感染性肺炎を疑ったらどうする?─特発性間質性肺炎,薬剤性肺炎など
第3章 高齢者の肺炎と引き際について
14 「訪問診療」での肺炎診療─なるべく在宅でといわれたら?
15 超高齢者の肺炎─誤嚥性肺炎の診断・治療・予防と終末期における治療の引き際は?
第4章 ゼッタイ押さえておきたい!病原体ごとに異なる診療上の注意点
16 肺炎球菌性肺炎に本当に狭域ペニシリンで戦ってよいか?─ペニシリンの投与方法
17 マイコプラズマ肺炎でのマクロライド耐性はどれくらい問題なのか?―マクロライドの適応を考える
18 インフルエンザウイルスと肺炎─ウイルスそのものによる肺炎とインフルエンザ後肺炎
第5章 知っておきたい特殊な患者における診療上の注意点:外来編
19 COPD患者の咳と痰が増えたとき,どうする?─COPD急性増悪と肺炎
20 妊婦の肺炎─X線検査をしても大丈夫?
第6章 肺炎は予防も大事!
21 インフルエンザワクチン,肺炎球菌ワクチン,プラス禁煙が予防の王道!
第7章 お悩みQ&A─ほかの先生はどうしているの?こんなとき!
【電子版】eChapter 病院でみる肺炎
巻頭言
「昨日の敵は今日の友」という言葉がありますが,ウィリアム・オスラー医師は著書“The Principles and Practice of Medicine”の中で,第2版までは肺炎のことを“It is the special enemy of old age.”「肺炎は老人の仇敵」と表現していました。しかし,オスラー医師が50歳のときに刊行された第3版では,“Pneumonia may well be called the friend of the aged.”と,老いの苦悩から安らかに救ってくれる「肺炎は老人の友」という表現に変わっていました。
本書の前版は2013年に刊行されましたが,おかげさまで好評を頂き,2017年に日本呼吸器学会から『成人肺炎診療ガイドライン2017』が発行されたことを受けて改訂することになりました。この新しい肺炎診療ガイドラインでは,老衰経過中や原疾患末期の終末期の肺炎について,治療差し控えのオプションも提示されたことが話題になりました。
あるときは病前の状態まで回復することを目標に徹底的に戦い,一方で回復が望めないときには,終末期の高齢者を軟着陸させ,患者さん本人の尊厳を守ることも「肺炎に立ち向かう」ことになるのだろうと思います。
前版では私があれもこれもと欲張りすぎたため,他のjmedmookシリーズと比べて大幅にページ数が多くなってしまいました。今回の改訂版では,本書の主な読者が実地医家の先生方ですので,ジェネラリストにとって重要な話題を21項目にしぼり,内容をブラッシュアップして本誌に掲載しました。重症肺炎や医療関連肺炎・院内肺炎についても,情報を更新した10項目を電子版でお読み頂けます。
項目によってはあまり内容が変わっていないものもありますが,感染症専門医である青木 眞先生の『臨床家は定期的に「ほとんど新しいことなし」というのを確認するのが仕事』という言葉の通り,本当に大切なことはそれほどコロコロ変わらないのです。
改訂版でもジェネラリストや研修医をはじめとした,呼吸器や感染症を専門としない医師が肺炎に立ち向かうにあたり,一助となることを願っています。
2019年2月 京都大学医学部附属病院臨床研究教育・研修部特定助教
山本舜悟