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相澤病院指導医が贈るERの「落とし穴マップ」 ER必携 救急外来Tips 1121

臨床現場での「耳学問」があなたのER診療をサポート!

定価:4,070円
(本体3,700円+税)

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著: 山本基佳(相澤病院 卒後臨床研修センター 副センター長/救命救急センター 副センター長)
判型: B6判
頁数: 304頁
装丁: 2色刷
発行日: 2017年04月23日
ISBN: 978-4-7849-4605-1
版数: 初版
付録: -

相澤病院 卒後臨床研修センター 副センター長が贈る1121の救急外来Tips。日常診療の「落とし穴」がこの一冊に。

各項目は1~2行ほどの箇条書き、豊富な索引とともにパッと読んですぐに活かせる「耳学問」のエッセンスが満載。各診療科における診察・診断・手技・治療から、患者対応・専門科コンサル・院内マナーにいたるまで、網羅的かつ簡潔にまとめました。

多忙を極める臨床研修期間中、研修医の皆さんのER診療を力強くサポートします。

指導医や中堅・ベテラン医師の方にはER診療のピットフォールのリマインダーとしても意義ある一冊。

診療科: 救命救急 救命救急

目次

巻頭言

はじめに

1 内科
Chapter 1 内科一般
 一般/免疫低下/輸液・栄養/痛風/血液検査関連
Chapter 2 消化器内科
 下痢・便秘/腹痛/消化管出血・内視鏡/肝・胆・膵
Chapter 3 呼吸器内科
Chapter 4 代謝・内分泌内科
 低血糖/高血糖/内分泌
Chapter 5 腎臓内科
 透析/電解質異常・酸塩基平衡異常/アシドーシス/横紋筋融解
Chapter 6 神経内科
 神経診察/髄膜炎・脳炎/くも膜下出血/脳梗塞・脳出血・TIA・頭蓋内疾患/痙攣/神経・筋疾患
Chapter 7 血液内科
Chapter 8 感染症科
 感染症一般/渡航感染症
Chapter 9 インフルエンザ
 一般/検査/投薬
Chapter 10 循環器・心臓
 一般/心筋梗塞/不整脈/その他胸痛

2 外科
Chapter 11 外科一般
Chapter 12 整形外科
 基本原則・診察/処置(包帯・シーネ固定など)/上肢/下肢/脊椎・体幹
Chapter 13 傷の治療
 処置一般/縫合・テーピング(皮膚接合用テープによる固定)/熱傷/創感染についての考え/局所麻酔/特殊処置/破傷風

3 その他の診療科
Chapter 14 アレルギー科
 病歴・問診/治療/アナフィラキシー/血管性浮腫
Chapter 15 産婦人科
 妊娠/妊娠と薬/妊娠中の疾患・婦人科疾患/授乳
Chapter 16 小児科
 小児一般/異物誤飲
Chapter 17 眼科
Chapter 18 耳鼻咽喉科
 耳疾患/鼻疾患/咽喉頭疾患
Chapter 19 泌尿器科
 無尿・尿閉・導尿/血尿/尿管結石/急性陰嚢症/陰茎疾患/尿路感染症・性感染症
Chapter 20 皮膚科
 軟膏・クリーム/皮膚疾患/ヘルペス・帯状疱疹/虫刺症
Chapter 21 歯科口腔外科
Chapter 22 精神神経科
Chapter 23 画像診断
 エコー/放射線検査
Chapter 24 環境障害
 体温測定/熱中症/低体温/凍傷/溺水/高山病
Chapter 25 麻酔
 全身麻酔・局所麻酔/局麻アレルギー・局麻中毒/腰椎麻酔・腰椎穿刺
Chapter 26 気道
 酸素投与/血液ガス分析/気道確保
Chapter 27 意識障害
Chapter 28 薬物
Chapter 29 輸血
Chapter 30 救急
 心肺停止・蘇生/外傷/縊頸/災害医療/脳死・死後の問題
Chapter 31 中毒
 中毒一般/胃洗浄・活性炭/アセトアミノフェン中毒/一酸化炭素(CO)中毒/有機リン中毒/アルコール関係/その他/生物毒

4 マナーと心得
Chapter 32 問診と診察・診断
 問診に関すること/身体診察・バイタルサインに関すること/診断に関すること/診察の注意事項/その他
Chapter 33 診療の心得
 上司にホウレンソウ/トラブル発生/他科コンサルト/他スタッフとのこと/紹介状・診断書関係・病院のきまりなど/衛生管理/マスク/ゴミ問題/滅菌操作/後片付け/口頭プレゼンテーションのコツ/日本語/カルテ記載のコツ/研修医の心得/ロールモデル/レポート・原稿/学会/診療・問診・態度・マナーなど/フォローアップのコツ/家族とのやりとり/難しい患者さんの対応

コラム
「耳学問」でフリーズを解除せよ
こんなところがつながっちゃうなんて・・・
入れる順番に注意しましょう
メイロン® でNa負荷を考える
ワレワレハ、ツネニ監視サレテイル①
ワレワレハ、ツネニ監視サレテイル②
やりっぱなしはだめ
表現が難しい解剖学的部位(問題編)
表現が難しい解剖学的部位(解答編)
AにするかBにするか方針に迷ったら
アレルギー①
アレルギー② ― サバアレルギー
帰宅してもらう場合のコツ ― 布石を打っておく
アレルギー疑いの人にどう対応していますか?
妊娠しているか妊娠していないか、それが問題だ
ERでのKUB
ERで押さえておくべき刺咬症
患者さんが持ってきたものは…!
頭部CTでは「脳以外」もみよう
「左右対称=異常がない」? 
適正酸素流量について 
酸素流量と吸入酸素濃度の覚え方
その血液が「動脈血である」と君は言い切ることができるか
薬の規格はたくさんある
薬の名前もたくさんある
他科紹介時に最低限必要な検査とは?
次につなげるということ
紹介状を書こう
略語は避けよう
同音異義語
単位の認識は難しい

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序文

はじめに

 「ER が落とし穴だらけ」というのは有名な話で、油断するとすぐに穴に落ちてしまいます。明らかに落とし穴がありそうな胸痛や頭痛はもちろん、落とし穴がなさそうな風邪や捻挫であっても、必ずどこかに大なり小なりの診療のピットフォールがあり、そこに潜む魔物が私たちを穴に落とそうとしてきます。しかし私達は何とかして落とし穴を回避しつつ、その先にいる患者さんを助けださなければなりません。
 私は救急外来で診療をするようになり10 年が経ちました。それでも未だ見ぬ落とし穴がたくさんあります。日常診療では常に「落とし穴がないところがあれば教えて欲しい」と思いながら診療をしていますが、10年経ってもわからない落とし穴があるのです。ただこの10年でわかってきたこともあります。それは「大きな落とし穴の場所」と「小さくても落ちやすい落とし穴の場所」です。この2 つの場所はだいぶわかるようになってきました。おそらく目の前の道、すべてに落とし穴があるわ
けではないでしょう。きっとどこかに患者さんを救うための道はあるはずです。「大きな落とし穴」と「落ちやすい落とし穴」を回避していくだけでも、目的の場所にかなり安全に近づけるのではないでしょうか。
 本書は、この10 年、初期・後期研修医、ER 医として救急外来で診療をしてきた私からの「落とし穴マップ」です。内容の多くは、ER でいっしょに働いた初期研修医の先生方とのやりとりから生まれたものです。自分が見つけた穴もあれば、人から教わった穴もあります。うまく回避できた穴もあれば、無念にも落っこちてしまった穴もあります。「そこは落ちやすいよ」と教えてもらったのに、不注意で落っこちてしまった穴もあります。そんな落とし穴に皆さんがはまらないよう、できるだけ多くのことを「落とし穴マップ」として記載しました。私達は落とし穴に落ちている暇はありません。落とし穴の向こう側で助けを求めている患者さんのもとに一刻も早く辿り着き、救い出せるようにしていきましょう。

2017 年3 月 山本基佳

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レビュー

巻頭言

許 勝栄(Guam Memorial Hospital Emergency Department)
『Text reading ではなく、Patient readingを!』(川崎富作)
 そう、川崎富作先生はあの川崎病を発見された偉大な先生です。この川崎先生のお言葉は一見、テキストを読むことを否定されているように見えますが、決してそうではなく、教科書を読むのはもちろんのことだけれども、それ以上に患者さんをよく読め、という臨床医に対する熱いメッセージなのだ、と私は理解しています。特に研修医の皆さんは、しっかりとテキストを読みながら患者さんから学んでいく必要があります。ですが、救急外来での研修中はもちろんのこと、それ以外の科も含め多忙を極める臨床研修期間中、内科のHarrison、救急のTintinalli やRosen といった、「誰が通読するの⁉」(もちろん通読している並外れた方も時々おられますが…)という、系統的とは言えあまりに分厚いテキストを読む時間は十分にはないことでしょう。一方で、実のところ、現場での先輩医師や指導医のアドバイスから学ぶこともがとても多いものです。つまり、臨床現場での「耳学問」が君を助けるのです。
 この本には、経験豊富なER ドクターからの「耳学問」的なエッセンスが溢れています。「耳学問なんて、断片的な知識にしかならないでしょ⁉」と、侮ってはいけません。ER 診療のエキスパートである著者からの「耳学問」は、何にも勝る忠告として、時に厳しく、時にユーモアを交えながら、皆さんのER 診療を力強くサポートしてくれることでしょう。この本が対象としているのは、医学部卒業間もない初期研修医の方々。タイトル通り、皆さんのER 研修に必携の本です。研修開始のできるだけ早い時期に、まずは「Chapter 33 診療の心得」から読み始めてみることをお勧めします。研修期間中、この本に書かれていることを心がけることで、研修はより安全で着実なものとなるでしょう。
 また、この本は経験を重ねてきた医師にも、きっと役に立つことでしょう。臨床医として懸命に努力はするけれども、それでも医者として迷うことはあり、間違いもあります。私自身、ER から患者さんを帰宅させる際、今でも少なからず怖さを感じます。「これで大丈夫なのだろうか…?」と。誰も完璧にはなりえない以上、できるだけミスを少なくするという不断の努力が必要であり、それにはER 診療のピットフォールを常にリマインドしておくことが重要です。この点において、この本は初期研修医だけでなく、中堅医師やベテラン医師も折に触れて読み返す価値がある一冊です。
 この本があなたのER 診療の「お守り」になると信じています。

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