著: | 山本基佳(相澤病院 救命救急センター 副センター長/卒後臨床研修センター 副センター長) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 464頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2018年09月20日 |
ISBN: | 978-4-7849-4607-5 |
版数: | 第1版 |
付録: | 電子版閲覧用シリアルナンバー(巻末綴じ込み) |
● 春の救急 ●
1.虫
(1)アナフィラキシー
(2)虫による刺咬症
2.ハチとハチミツ
(3)ハチ刺され
(4)ボツリヌス
(5)グラヤノトキシン
3.アルコール中毒
(6)飲み過ぎ
(7)beer potomania
(8)コバルト中毒
(9)メタノール中毒
(10)エチレングリコール中毒
4.ホタルイカ
(11)旋尾線虫
● 夏の救急 ●
1.アジサイ
(12)アジサイ中毒
(13)アマチャ中毒
2.カタツムリ
(14)広東住血線虫
3.炎天
(15)熱中症
(16)紫外線と日焼け
4.登山
(17)高山病
(18)山岳遭難
5.海水浴
(19)溺水
(20)クラゲ刺傷
(21)シガテラ
(22)その他の魚類中毒
● 秋の救急 ●
1.ぎんなん
(23)ぎんなん中毒
2.サバ
(24)真のサバアレルギー
(25)偽のサバアレルギー
(26)アニサキス
3.きのこ
(27)きのこ中毒
4.柿
(28)柿(転落外傷)
(29)柿による食餌性腸閉塞
5.冬眠前
(30)クマ外傷
(31)動物咬傷
(32)破傷風
● 冬の救急 ●
1.暖房器具
(33)低体温
(34)凍傷
(35)紫外線角膜炎(電気性眼炎,雪眼)
2.火の用心
(36)熱傷
(37)一酸化炭素中毒
(38)シアン中毒
(39)火事場からの搬送
3.冬の旬
(40)餅による窒息
(41)フグ中毒
索引
24時間365日フル稼働しているERでは,毎日様々な主訴の患者さんに対応しなければなりません。目の前の患者さんが,日常的に鑑別疾患として挙がる疾患(common disease)だけならよいのですが,比較的稀なものについては知っておかないとそもそも鑑別診断に挙げることもできません。たとえば「けいれん+意識障害」を主訴に救急搬送された人をみたら,普段は頭蓋内疾患,てんかん,低血糖などが鑑別疾患として挙がります。しかし,ここで「季節性」という観点から主訴を見直してみると,夏には「熱中症」が,秋には「ぎんなん中毒」が,冬であれば火災による「一酸化炭素中毒」や「シアン中毒」が鑑別疾患の上位に加わります。この中で熱中症は比較的診断しやすいですが,ぎんなん中毒,一酸化炭素中毒やシアン中毒などは知っていてもそのときに浮かばなければお手上げでしょう。これはほんの一例ですが,「季節」というスパイスを加えただけでその後のマネジメントが大きく変わることがあるのです。
十数年前と比べると,最近はERや総合診療に関心がもたれ,その分野の様々な教科書や参考書が出版されていますし,海外の訳書も多いです。しかし本書は,豊かな四季を持つ日本ならではの「季節」という視点からER診療を俯瞰する,まったく新しい観点の参考書になるのではないかと思います。季節の救急が皆様の日常診療の一助になり,ひとりでも多くの患者さんのお役に立てることを心より願っています。