編著: | 野見山崇(順天堂大学医学部附属静岡病院糖尿病・内分泌内科教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 256頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2023年11月30日 |
ISBN: | 978-4-7849-0374-0 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
◆年々複雑化する糖尿病治療薬の考え方をばっちり整理! 2022年に発表され2023年10月に改訂された「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」の最新データに準拠しました。
◆薬剤そのものの説明はもちろん、糖尿病の合併症・併存症の予防まで含めてどのように使っていくかを解説。さらに、糖尿病患者が妊娠したら? 小児にはどう対応を? 感染症に罹ってしまったら?と、様々なパターンへの対策も盛り込みました。
◆これを読めばもう、「とりあえず血糖を下げておけばいいか……」なんて目先の治療にとらわれることはなくなります。糖尿病治療にあたっている先生にこそ読んでいただきたい1冊です。
1章アルゴリズムをふまえた治療方針
2章糖尿病治療薬
1 α-グルコシダーゼ阻害薬
2 SGLT2阻害薬
3 チアゾリジン薬
4 ビグアナイド薬
5 イメグリミン
6 DPP-4阻害薬
7 GLP-1受容体作動薬
8 スルホニル尿素薬
9 グリニド系インスリン分泌促進薬
10 インスリン
11 GIP/GLP-1受容体作動薬
3章合併症・併存症予防を考えた治療戦略
1 動脈硬化予防を考えた治療戦略
2 心不全予防を考えた糖尿病治療戦略
3 糖尿病性神経障害予防を考えた治療戦略
4 糖尿病性腎症予防を考えた治療戦略
5 糖尿病網膜症予防を考えた治療戦略
6 脂肪肝予防を考えた治療戦略
7 肥満予防を考えた治療戦略
8 認知症予防を考えた治療戦略
9 骨粗鬆症予防を考えた治療戦略
10 がん予防を考えた治療戦略
11 サルコペニア・フレイル予防を考えた治療戦略
4章糖尿病患者が〇〇になったら
1 糖尿病患者が妊娠したら
2 糖尿病患者がステロイド薬を使ったら
3 糖尿病患者が感染症にかかったら
4 糖尿病患者が脂質異常症になったら
5 糖尿病患者が高血圧症になったら
6 糖尿病患者が歯周病になったら
7 糖尿病患者が不眠になったら
8 2型糖尿病患者が小児だったら
9 糖尿病患者が大酒家だったら
10 糖尿病のある人がスティグマに悩んでいたら
11 糖尿病のある人が医療費を心配していたら
序文
未来に繋がる一冊になることを願い
糖尿病診療は,糖尿病とともに生きる人をどこまで幸せにできるのだろうか。そんな“夢”を語れるくらい,糖尿病の治療は日進月歩の発展をここ数十年で遂げました。私が医師になりたての頃は,インスリンとスルホニル尿素薬しか薬物療法がなく,厳しい食事制限と運動療法を励行し,インスリンを3~4回注射することの大切さを, 情熱を持って語ることが糖尿病専門医の仕事でした。しかし,21世紀に入り,多種多様な個性を有する糖尿病治療薬が臨床の場に登場すると,病態を考えながら患者さんとともに治療戦略を思案できる素晴らしい時代が訪れたのです。剣道に例えるならば,相手に応じて先鋒,中堅,大将の剣士を選ぶように,個々の病態と合併症・併存症の状態を鑑み,第一,第二,第三選択薬を処方することが可能になったのです。また,糖尿病という病名や呼称を変更する必要性も議論されるほど,糖尿病のある人に降りかかるスティグマやそれを払拭するためのアドボカシー活動は,社会現象にもなりつつあります。まさに今,インスリン発見から100年が過ぎた糖尿病診療は,幕末のような激動の時代を迎えたと言っても過言ではありません。
本書はそんな混沌とした時代に一筋の光を射し,未来の糖尿病診療の道しるべとなることを願い,企画させて頂きました。第1章では,2023年に第2版が発表された日本糖尿病学会の2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズムについて,実際に関わられた佐藤博亮先生に,作成に至った詳しいと背景をご解説頂きました。第2章では,現在臨床応用されている糖尿病治療薬について,それぞれの薬剤に精通されている先生方にご解説頂きました。そして第3章では,合併症・併存症の発症進展抑制を見据えた治療戦略を,第4章では糖尿病のある人が遭遇する様々な状況における対策を,それぞれのエキスパートの先生方にご執筆頂きました。お忙しい中,御執筆頂いた先生方に心から感謝申し上げます。本書が読者の先生方の診療の一助となり,糖尿病のある人の未来を護る一冊になることを心から願います。
また,第4章-4「糖尿病患者が脂質異常症になったら」をご執筆頂きました三好秀明先生が,ご逝去されました。心からご冥福をお祈りするとともに,本書を三好先生のご遺作として,先生のご遺志を繋ぎ大切にさせて頂きます。本当にありがとうございました。
順天堂大学医学部附属静岡病院 糖尿病・内分泌内科
野見山 崇