著: | 村川裕二(帝京大学溝の口病院内科教授) |
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著: | 田宮栄治(江東病院循環器内科部長) |
判型: | B5判 |
頁数: | 216頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2010年11月15日 |
ISBN: | 978-4-7849-4283-1 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
忙しい診療時間の中で、対応を急がないでも大丈夫か(捨てる)、取り扱いを急ぐべきか、専門医へ送るべきか(拾う)? 心電図のマイスター村川裕二と循環器診療のベテラン田宮栄治が本音で語る62例の心電図チェックQ&Aです
実際の診療で得た心電図を両者持ち寄り、どう判断するか迫ります
全部拾っていたら医療費がかかりすぎるが、どこまで対応すべきか? 第一線で診療にあたるジェネラリスト必携の1冊です
CASE01 70歳男性 糖尿病,慢性腎不全で血液透析導入,胸痛
CASE02 86歳女性 30年以上の不整脈歴
CASE03 56歳男性 軽度の糖尿病あり,胸痛なし
CASE04 46歳男性 動悸
CASE05 68歳男性 無症状で約30年前より心電図異常
CASE06 51歳男性 安静時胸痛
CASE07 79歳男性 高血圧症
CASE08 84歳男性 軽度の動悸
CASE09 67歳女性 VDDペースメーカ植え込み後・チャンス心電図
CASE10 60歳男性 年に数回の動悸
CASE11 65歳男性 透析中
CASE12 78歳男性 動悸
CASE13 78歳女性 食欲不振,ジギタリス,利尿薬服用
CASE14 35歳女性 ときどき動悸
CASE15 59歳女性 心筋梗塞既往
CASE16 78歳男性 動悸+50
CASE17 55歳女性 健診で心電図異常を指摘
CASE18 53歳男性 心電図異常を指摘
CASE19 5歳男子 健診で徐脈傾向
CASE20 52歳男性 健診で心電図異常を指摘
CASE21 72歳男性 息切れ・倦怠感
CASE22 62歳男性 脈の不整を自覚
CASE23 52歳女性 失神
CASE24 65歳女性 健診で心電図異常を指摘
CASE25 68歳女性 健診で心電図異常を指摘
CASE26 34歳男性 健診で心電図異常を指摘
CASE27 68歳女性 健診で心電図異常を指摘
CASE28 43歳女性 胸痛
CASE29 58歳男性 ペースメーカ植え込み後
CASE30 86歳男性 胸痛
CASE31 61歳女性 消化器疾患の入院時検査
CASE32 86歳女性 胸痛後に心電図変化
CASE33 35歳女性 チャンス心電図
CASE34 21歳女性 健診で心電図異常を指摘
CASE35 51歳男性 息切れ
CASE36 70歳男性 糖尿病,心筋梗塞既往,浮腫
CASE37 73歳男性 健診で心雑音を指摘
CASE38 69歳男性 定期的な心電図検査で変化
CASE39 79歳男性 心電図異常にて紹介
CASE40 66歳男性 直腸癌の術前チェックにて紹介
CASE41 76歳女性 心電図異常にて紹介
CASE42 74歳女性 軽度の胸痛
CASE43 80歳男性 鼠径部悪性腫瘍の術前チェックにて心電図異常
CASE44 34歳男性 軽度の労作時息切れあり,骨折で入院
CASE45 39歳男性 健診で心電図異常を指摘
CASE46 70歳男性 健診で心電図異常を指摘
CASE47 36歳男性 ペースメーカ植え込み後
CASE48 62歳男性 泌尿器科の術前検査
CASE49 28歳男性 健診で心電図異常を指摘
CASE50 16歳女性 耳鼻科手術前のチェック
CASE51 36歳男性 動悸
CASE52 65歳男性 無症状
CASE53 86歳男性 COPDでフォロー中
CASE54 30歳女性 ときどき胸部不快
CASE55 70歳男性 健診で心電図異常を指摘
CASE56 34歳女性 QT延長症候群の家族歴
CASE57 57歳男性 労作時の動悸,ホルター希望で来院
CASE58 78歳男性 全身状態が悪い,肺炎
CASE59 54歳女性 胸痛
CASE60 39歳男性 ときどき動悸
CASE61 58歳男性 健診で心電図異常を指摘
CASE62 45歳男性 胸部の違和感
■ COLUMN 1 ■ 心房細動のレートコントロールとリズムコントロール
■ COLUMN 2 ■ 心房細動の心室レートは?
ケース別キーワード一覧
CASE01 糖尿病,慢性腎不全,血液透析,胸痛,虚血
CASE02 長い不整脈歴,ジギタリス服用,stent
CASE03 2型糖尿病,Ta波
CASE04 動悸,narrow QRS tachycardia
世の中にはたくさん心電図のテキストがあります。
なぜたくさん並んでいるのかというと、「心電図をたちどころにマスターするための魔法」が存在しないからです。
富士山に登るということは間違いなく海抜3、776mの頂まで足を運ばねばなりません。どのコースを選んでも、「驚くほどラクで1時間もかからない」という選択はありません。
しかし、「迷ってばかりで頂上にたどり着かない」という道をたどることはありえます。
登山と心電図の勉強に求められることは似ています。
それは…
● 登山が楽しい=テキストが面白くて
● 頂上にたどり着けて=最後まで読める
● 足腰がしっかりしてくる=ちょっとは心電図が見えてくる
この本は2人で書きました。
ずっと昔、中央鉄道病院(現JR東京総合病院)でいっしょに仕事をした仲間です。
● わからなかった
● 困った
● 間違った
…ところもそのまま書き込みました。
心電図をどう読んで行くか、リアリティーを再現したかったからです。
現場で必要なことは「次にどう動くか」。シンプルに言えば…
● 急いでなんとかする
● 急がないけど、あとで検査や治療を行う
● 全然何もしない
の3つしかありません。それらを、この本の中では「すぐ拾う心電図」「あとで拾う心電図」「捨てる心電図」と呼ぶことにしました。
目の前の心電図が「この3つのどれにあたるか」わかれば間に合います。心電図を読む難しさは、所見や診断を知ることが難しいのではなく、「その先、どうしよう」というところにこそあります。その発想を共有していただくことが本書のテーマ。
心電図の判読や対処の方向はあいまいで、一人一人の信条に左右されますから、症例によっては著者らと異なる意見を持たれるかも知れません。異なる意見があることも心電図の面白み。
楽しんでいただけるとうれしいです。
村 田
2010年9月