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多職種協働ケアで必要とされる 共通言語の基礎知識

あの人は話しの通じるドクター…と言われるために!

定価:2,420円
(本体2,200円+税)

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著: 安藤 繁(介護老人保健施設 若宮苑 副施設長)
判型: A5判
頁数: 192頁
装丁: 単色
発行日: 2010年12月20日
ISBN: 978-4-7849-5357-8
版数: 第1版
付録: -

地域や在宅は専門職の「るつぼ」。その中に混じってコミュニケーションをとるためには、相手の意図することを的確に理解する必要があります。お互いが、同じことを言っているはずなのにうまく噛み合わない…。用語が違う…。意味がわからない…。そんな経験はないでしょうか。本書は、現場のプロが、短く、端的に(行政への不満も含めて)まとめあげた「共通言語の基礎知識」です。週刊誌連載の104語に、現行制度への箴言・苦言がぎっしり詰まった総論をプラスしてお届けします。是非ご一読を!

診療科: 医学一般

目次

●総論編
第1章:本当の「惨状」に?いよいよやってくる2012年改定
第2章:ケアマネジメント・名称と定義
第3章:ケアマネジメント・生活モデルとチームケア
第4章:ケアマネジメントの過程
第5章:ケアマネジメントが理解されにくい理由
第6章:エピソードあれこれ
第7章:ケアチームについて考える
第8章:まとめにかえて

●用語編
1:2012年問題
2:Doの担保
3:ICF(国際生活機能分類)
4:P4P(pay for performance)
5:R4システム
6:アウトリーチ
7:アセスメント〔査定〕
8:アセスメントツール
9:医師から介護者への助言(介入)
10:居宅療養管理指導(「介護予防」も含む)
11:医療・介護事業者における個人情報取扱い
12:医療機関等における不在者投票
13:医療単給
14:インターベンション〔介入〕
15:インテーク
16:インテーク─その2
17:エコマップ
18:エバリュエーション〔評価〕
19:介護サービス情報の公表
20:介護サービス情報の公表─その2
21:介護サービス提供拒否の禁止
22:介護支援専門員(ケアマネジャー)
23:介護支援専門員実務研修受講試験
24:介護相談員派遣事業
25:「介護等の体験」と「実習」
26:介護認定審査会─書類の重要性
27:介護の市場化
28:介護報酬
29:介護老人保健施設
30:「がん」の要介護認定
31:機会損失
32:基準費用額
33:キーパーソン
34:境界設定
35:共感と同情
36:共通言語理解の前提条件
37:区分支給限度基準額(の怪)
38:ケアチーム内での難解語
39:ケアチームのリーダー
40:ケアの「適切性」
41:ケアマネジメント(care management)
42:ケアマネジメントの過程
43:ケアマネジメントの定義
44:高齢者虐待
45:高齢者虐待─その2
46:厚労省による高齢者差別
47:五訂 介護支援専門員基本テキスト
48:個別援助技術(ソーシャルケースワーク)
49:混合介護
50:財政安定化基金
51:サービス担当者会議
52:差別用語
53:施設ケアマネジメント
54:市町村特別給付・支給限度基準額の上乗せ
55:事例化─インフォーマルケアの破綻
56:自立支援
57:身体拘束ゼロ
58:新・要介護認定(介護保険制度)
59:新・要介護認定─その2
60:社会資源
61:社会調査結果の解釈
62:社会的手抜き
63:社会福祉協議会
64:社会福祉研究
65:社会保険
66:重症心身障害児(者)の短期入所
67:集団のニーズ
68:主観的困難事例
69:障害者手帳
70:障害年金
71:ショートステイ
72:生活保護
73:生活保護の基本原理と原則
74:生活モデル
75:セルフケア能力の向上
76:ソーシャルワーカー
77:退院時・退所時指導
78:多職種協働
79:多職種協働ケアのキーワーズ
80:チームワーク
81:伝送による報酬請求
82:特定疾病
83:ナショナルミニマム研究会
84:ニーズアセスメント
85:日常生活自立支援事業
86:日常生活自立度判定基準
87:任意のネットワーク
88:認定調査の委託
89:認定調査のリスク─拘縮の有無
90:ノーマライゼーションの3本柱
91:バイステックの7原則
92:バイステックの7原則─その2
93:病院における身体拘束
94:福祉資本主義3つの世界
95:福祉車両
96:プランニング(planning)
97:プレジャー・プラン(pleasurable plan)
98:保障と賠償
99:ミクロ・メゾ・マクロの視点
100:モニタリング〔見守り・見直し〕
101:優資格者
102:利用者本位
103:利用者満足度
104:ワークショップ

●資料
●総論編索引

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序文


保健・医療・福祉の世界で、いわゆる「生活モデル」に立脚して仕事に従事している私たちは好むと好まざるにかかわらず、社会的な制約下で物事に取り組むしかない側面がある。それを良かったと感じることもあるし、限界に悔しさや無力感を痛感することもある。
用語編〔65〕(132頁)で取り上げている社会保険の端的な定義、「社会保険とは、保険の技術を利用して、社会政策を実現しようとする経済制度」(近藤文二『社会保険』岩波書店、1963年)に示されるように、医療保険・介護保険などのフィールドで働く私たちは国の社会政策実現のために日々、考え、汗を流していることになる。
しかし、医療を筆頭に対人支援・対人援助の仕事においては社会政策をも「良く」していかなければ、人は助からないし世の中は良くならない。したがって個人というミクロレベルにとどまらず、地域・自治体等のメゾや社会というマクロレベルへの働きかけも含めての考え方とその周辺知識をもって日常に臨むことが不可欠であると考えて、30年近く第一線で働き続けてきた。
そのようななか、日本医事新報社から以前の著作と連載を合わせて一冊の本にするというお話をいただいたので、題材に旧さがあるものの「時代の流れ」を実感できるかと考え、あえて修正は加えずにそのまま出すことにした。お読みいただければ用語編で取り上げた項目のいくつかは、すでに国が改革(改善)の方針を打ち出し実現へと動いていることがよく分かる。
実践家が発信し、それを受けた国民が声を上げていけばすべてではなくとも政策は改善される余地が多くあろうし、現に改善経験もありそのことを実感している。そのためには、我々が「共通言語」を理解し合い「共通認識」に基づいて臨床に、現場に臨むことが大切なことであろうと強く思うのである。
「書きっぱなし」になっていた連載等をまとめて書籍化してくださった日本医事新報社の加藤範也氏に心より感謝するとともに、連載中に貴重なご意見・ご指摘をいただいた『日本医事新報』の読者の方々に改めて御礼を申し上げたい。
最後に、2012年の診療報酬・介護報酬同時改定をはじめ、今後の様々な課題に対して、本書が読者の皆さまのムーブメントにつながり何らかの力になり得ることを祈りたい。

2010年11月
安藤 繁

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