【質問者】
鈴木眞理 政策研究大学院大学保健管理センター教授
専門的競技開始年齢の低年齢化により,ジュニア期から減量や低体重を求める指導が行われているケースはめずらしくありません。特にジュニア期のアスリートにとって指導者は絶対的な存在であることから,アスリートだけでなく保護者も,減量により健康を害していることに気づかず,目先の競技記録向上を求めてしまう傾向があります。ジュニア期の体重制限は初経発来の遅延や発育・成長の制限にもつながり,生涯にわたり健康を害する可能性があります。
近年,国際オリンピック委員会では,relative energy deficiency in sport(RED-S)の概念を提唱し,スポーツにおける相対的なエネルギー不足は,発育や発達,骨格筋,免疫,代謝,精神等へ悪影響を与え,パフォーマンスの低下をもたらすとし,運動量に見合った食事からのエネルギー摂取量の重要性について警鐘を鳴らしています。また,米国スポーツ医学会でも,女性アスリートに多い健康問題としてlow energy availability(利用可能エネルギー不足),無月経,骨粗鬆症を挙げ,これらを「女性アスリートの三主徴」と定義しており,三主徴を認めるアスリートでは疲労骨折のリスクが高まることも明らかになっています。
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