医療事故調査制度の第三者機関「医療事故調査・支援センター」に指定されている日本医療安全調査機構は5日、気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る医療事故の再発防止策を公表した。事故調により収集された事例に基づき再発防止策がまとまるのは4回目。
■逸脱・迷入時の対応を医療者が共有して
事故調がスタートした2015年10月1日から今年2月末までに報告された院内調査結果報告書607件のうち、気管切開孔が安定するまでの術後早期(気管切開術当日からおよそ2週間程度)の気管切開チューブが逸脱・迷入して死亡した5事例を分析し、7つの提言(下掲)を示した。
機構では事例の分析により、単に気管切開チューブ逸脱・迷入だけで死亡したのではないことが明らかになったと指摘。具体的には、抜けかかった気管切開チューブを戻そうと押し込むことや、逸脱・迷入した気管切開チューブから強制的に陽圧換気を行うことで皮下気腫、 縦隔気腫、緊張性気胸に至って致死的になっている事例がみられ、逸脱・迷入しかかった状況での対応の仕方により、病態が悪化していることも分かってきたとする。
そのため、術後早期に気管切開チューブが逸脱・迷入して生命の危険に陥りやすいことを改めて認識するとともに、逸脱・迷入時の対応などを医療者が共有することの必要性を強調している。