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乳幼児・妊婦健診の統一的な電子記録様式を提示 厚生労働省検討会

No.4915 (2018年07月07日発行) P.21

登録日: 2018-07-02

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厚生労働省の「データヘルス時代の母子保健情報の利活用に関する検討会」(山縣然太朗座長)は6月29日、乳幼児健診や妊婦健診について統一的な電子記録様式を示した中間報告書を大筋で取りまとめた。

厚労省は、健康・医療・介護の情報を一元管理するICTインフラの2020年度の本格稼働を目指す「データヘルス改革」を掲げている。同検討会はこれに基づき設置されたもの。厚労省は報告書を基に、関係法令の整備を行うほか、マイナンバー制度の活用に向けて市町村で発生するシステム改修の費用について、19年度予算の概算要求に盛り込む方針。

6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針)や「未来投資戦略2018」(成長戦略)でも、乳幼児期・学童期の健康情報の一元的活用の検討に取り組むことや、2020年度から健診データの提供の開始を目指すことが明記されている。一方で、現状の乳幼児健診や妊婦健診の記録様式は市町村ごとに項目や記録方法が異なっており、課題となっていた。

報告書によると、電子化の対象となるのは、3~4カ月児健診、1歳6カ月児健診、3歳児健診、妊婦健診の情報。健診結果はマイナンバーで管理し、健診情報の閲覧にはマイナポータルを活用する。マイナポータルとは、行政機関が保有する自身の個人情報の内容などが閲覧できるwebサービスのこと。マイナンバーカードでログインし、個人ページを開設することで利用可能となる。

乳幼児健診に関しては、発達、疾病に関する診察所見の項目などを標準的な様式として整備。健康履歴を本人・保護者が一元的に閲覧し、健康を管理することで、次世代を担う子どもの健やかな育ちに役立てることを活用目的としている。標準的な様式のうち、出生時体重、在胎週数をはじめ、出生時から各健診時の身長・体重・頭囲・胸囲(胸囲は3歳児健診以外)や、診察所見の判定、精密健康診査の所見などについては「最低限電子化すべき情報」と位置付け、ほかの市町村や学校に引き継がれることにより、効率的・効果的な保健指導の実施に活用すべきとした。養育環境や児童虐待の疑いといった機微に触れる情報は、本人・保護者による閲覧は適切ではないことから、今回の統一の様式には含めないとした。

妊婦健診については、自身の健康管理や次回以降の適切な妊娠管理に役立てることを目的に、標準的な様式を作成した。具体的な項目は、身長・体重、医学的検査の結果、歯の状態、出産の状態。子宮頸癌検診、B型肝炎抗原検査、C型肝炎抗体検査、HTLV-1抗体検査の情報については「慎重な取り扱いが必要」としつつ、将来のがん予防や早期発見につながり、本人の健康管理にとって重要な情報であることから、電子化の対象に含めるとした。その一方で、妊娠中の喫煙、性感染症、流産・死産の情報については、電子化には適さないとして除外される。

報告書ではまた、乳幼児期の健診情報と学童期の健診情報を一元的に記録する仕組みや健診結果を引き継ぐ仕組みがないことを問題視。乳幼児期の情報を活用した児童生徒の発育評価、正確な予防接種歴の把握が可能となるよう、連携体制の構築について引き続き検討するとしている。

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