(広島県 K)
民法によりますと,共有物の管理費は共有者全員が共有持分の割合に応じて負担することになっています。管理費を余分に支払った共有者は他の共有者に費用を請求できます。土砂流出防止措置の費用は管理費ですから,A氏は支払った分,他の共有者に請求できます。質問者の場合,工事費の0.5%を支払うことになります。
2人所在が不明ということですから,回収が難しいかもしれません。不在者の持分を何らかの方法で処分して,その対価から回収するほかはありません。多くは共有者が購入することになると思います。
この場合,家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらいます。不在者財産管理人は民法により保存行為(管理行為)しかできません。不在者の持分を処分するには家庭裁判所から特別許可をもらい,不在者の持分を売ってもらいます。そうして,管理費用と売買代金を相殺するという方法があります。不在者財産管理人相手に,共有物分割請求を行い,不在者の対価を払って持分権を取得するということになります。
共有物の固定資産税については,連帯納税義務といって,地方税法の規定により共有者全員が固定資産税を連帯して納税義務を負います。つまり,持分は一部でも,それぞれが全額納税義務を負うことになります。しかし,これは管理費ですから共有者間では持分に応じて分け合うことになります。誰かが支払えば,余分に支払った人は支払わなかった人に請求することになります。この場合も不在者に対する請求は上の場合と同じです。
【回答者】
籠橋隆明 名古屋E&J法律事務所 弁護士