今回のテーマは、医療機関の広報・広告活動です。6月に医療法とそれに基づくガイドラインが改正され、ウェブサイトが規制の対象に含められるなど、新たな動きも出ている中、皆さんはどのように対応されているのでしょうか。計84人の方から回答をお寄せいただきました。
まず、広報・広告活動を行っている方は63人(75%)、行っていない方は21人(25%)でした。広報・広告活動を行っている方に、利用している媒体(複数回答)を尋ねたところ、「自院ウェブサイト」が47人で最も多く、「地域の情報誌・広報誌」24人、「駅や電柱の看板」19人、「医療機関検索サイト」18人─などとなっており、大半の方が複数の媒体を使った広報・広告活動を展開しています。「その他」では、院内報(新聞)を活用しているとの声が複数。中には「地元フットサルチームのスポンサーになっている」というユニークな事例もありました。
広報を行っていないという方、媒体を1種類しか使っていない方は開業医に多く、代表的な理由は「親の代を含めて開業60年。今さら広告する必要がありません」(東京・開業医)など、地域で知名度があり新患開拓の必要性も低いといったもの。
また、医療機関検索サイトについては、数万円に上ることもある掲載料が悩みの種のようです。「毎日のように『うちのサイトに貴院の情報を載せませんか』と勧誘の電話があるが、掲載は公的なものだけで十分」(東京・開業医)との声も寄せられています。
厚生労働省の「医療広告ガイドライン」改正への対応については、「特に行っていない」との意見が多かった一方で、ウェブサイト上の記述を見直すきっかけになったとの声も複数みられました。新たな規制の適用を機に、地域連携を一層密にしたり、より細かな情報発信ができるSNSでの広報を強化したりといった対応を取った方もいらっしゃいました。
ただ、SNSについては「口コミによる宣伝効果は大ですが、怖い面もあります」(富山・開業医)との指摘も。怖い面とは、嫌がらせや中傷目的の投稿・メールのこと。広報ツールの多様化によって、医院が受けられるメリットが広がる一方で、新たに直面する問題も生じていることが窺えます。