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意識障害[今日読んで、明日からできる診断推論 実践編(19)]

No.4719 (2014年10月04日発行) P.44

監修: 野口善令 (名古屋第二赤十字病院 副院長・総合内科部長 )

宮下 淳 (市立奈良病院一般内科・総合診療科)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-23

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  • 病 歴

    77歳,男性。友人たちとカラオケをするために店に入った。ビールで乾杯した後に,トップバッターで歌い始めたところまではいつも通りだったが,歌ってみると,いつもより声が出ず調子が悪いようだった。歌い終わると,「気分が悪い」と言って店の奥で横になった。15分ほどして友人が見に行ったところ,意識もうろうとして受け答えができない状態だったので,救急要請した。

    スナップ診断

    病歴をまとめると「高齢男性の超急性(突発性)に発症した意識障害」となる。


    分析的アプローチ

    ■なぜその疾患名が挙がったのか

    意識障害と言えば,AIUEOTIPS1) という鑑別方法(表1)がある。しかし,これを用いるだけでは何十という疾患の羅列になるだけである。より実用的に用いるためには,患者の病歴を医学情報に変換する「変換キーワード(semantic qualifier)」2) を使う必要がある(表2)。
    本症例では「高齢男性の超急性(突発性)に発症した意識障害」が変換キーワードを用いたまとめになる。こうすれば,かなり鑑別疾患は絞り込まれる。まず,高齢男性は血管リスクが高い。また,超急性ということで「血管が詰まる」「血管が破れる」が起こった可能性が高い。そのため,S「脳卒中/ショック/(てんかん)」は真っ先に思い浮かぶ。
    そのほか,アルコールを飲んだ直後ということで,Aの急性アルコール中毒もなくはない。I(Insulin)も糖尿病の既往や血糖降下薬の使用があれば,考えられるだろう。U・Eに関しては発症様式が合わない。Oで見逃してはいけないのが肺塞栓(ショックという鑑別疾患からも浮かび上がる)だろう。病歴からTは否定的であり,I(Infection)も発症様式が合わない。


    私のクリニカルパール

    意識障害によらず鑑別疾患の絞り込みには,変換キーワードを活用しよう。

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