医療機関の控除対象外消費税問題に関して、15団体で構成する日本病院団体協議会(日病協)は12日、消費増税に伴う損失分の補塡不足への対応を求める要望書を、加藤勝信厚生労働相宛てに提出した。
2014年4月の消費税率8%への引上げ時には、初・再診料や入院基本料等に上乗せする形で、医療機関の負担増への対応が図られた。日病協などは15年に補塡不足を示すデータを公表していたが、厚労省は同年に「マクロでは概ね補塡されている」と総括した。しかし、厚労省の調査に計算ミスが発覚。今年7月公表の再調査結果では、病院の補塡率が下方修正され、特定機能病院等で大きな補塡不足が生じていたことが示された。
要望書では、厚労省に対し、補塡不足と調査ミスの原因究明を行った上で、消費税率10%への引上げに際して診療報酬による対応が必要となった場合に「病院機能別に公平となる補塡」を行うよう求めている。
診療報酬で解消しきれない補塡のバラツキについては、「各医療機関で消費税補塡相当額と控除対象外仕入れ税額を比較し、補塡の過不足がある場合、税制上の対応を可能とする新たな仕組み」の創設を求めた。これは三師会と四病院団体協議会が8月末に公表した提言と同じ内容で、日病協の山本修一議長は要望書提出後の会見で「医療界の統一見解」と述べた。
要望書では、2014年度以降の補塡不足に対する救済措置の創設も求めている。全日本病院協会の猪口雄二会長は「消費税負担で経営が悪化した病院への低金利・無担保融資があったらいいと思う」との見解を示した。