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【書評】カラーアトラス 皮膚症状110症例でみる内科疾患

No.4929 (2018年10月13日発行) P.66

菅原 斉 (自治医科大学附属さいたま医療センター総合診療科教授)

登録日: 2018-10-09

最終更新日: 2018-10-09

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デルマドローム(Dermadromes)とは、何らかの内科疾患と関連して生じる皮膚病変のうち、特に診断に役立つものである。昨年12月末の週刊日本医事新報(No. 4887)の特集は、出光俊郎教授監修による「皮膚病変でみる内科疾患」であった。私は、このデルマドロームの特集で、オラドローム(Oradromes=Oral medicine+syndromes)も初めて知った。そうか、半年前に、口腔内びらんで診療した腫瘍随伴性天疱瘡を患っていた濾胞性リンパ腫の患者さんは、オラドロームだったのか。出光先生にお会いしたとき、「私たち内科医や研修医にとって画期的で素晴らしい特集ですね」とお声がけさせていただいた。

この特集を発展させ、まったく新しいコンセプトでデルマドロームとオラドロームを集大成させたカラーアトラスが、出光先生の監修により上梓された。15の内科疾患群ごとに、104の皮膚症状と口腔粘膜症状がまとめられている。単なる皮膚病アトラスではなく、110の症例を提示した構成は、疾患の理解と記憶を助ける工夫であろう。執筆者は、全国の専門家105名に及び、すべての皮膚症状を見開きに、統一された構成でまとめているので、大変わかりやすい。

特に、皮膚所見の明瞭な「カラー写真」と内科疾患に関連付けられた皮膚疾患の「タイトル」は、まさに、“at a glance”。ひと目見ただけでよくわかる。糖尿病だけで、11のデルマドロームが示されているのは圧巻である。皮膚症状から診断される悪性疾患は、「意外な驚き」だけでなく、早期診断によって患者さんの救いにつながる可能性も秘めている。

また、巻末の袋綴じに記載されたシリアルナンバーを日本医事新報社Webサイトのマイページに登録すると、スマホで全文を閲覧できるだけでなく、日本医事新報の「関連記事・論文」のリンク先が示される。
すべての内科医の座右に置きたいデルマドロームとオラドロームのカラーアトラスである。指導医もこのカラーアトラスによってデルマドロームに習熟し、研修医にも「意外な驚き」を経験させてほしい。

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