最終回のテーマは倦怠感。これは重篤な疾患の随伴症状であることがある。病歴から急性と慢性にわけ,特に急性の倦怠感では重篤で緊急度が高い疾患を除外すべきである。では,今回の症例をみてみよう。
倦怠感は非特異的症状であり,その原因疾患は非常に多岐にわたる。このような非特異的症状は,鑑別診断の幅が広いので,鑑別においては「低産出」症状(low yield symptom)とも言われる。
しかし,だからといって「倦怠感は重要ではない」と言っているのではない。冒頭に述べたように,倦怠感は重篤な疾患の症状であることがある。感染症や炎症,致死的ストレスなどが起きると血中のサイトカイン濃度が上昇し,これが脳に作用することによって倦怠感として自覚される。
倦怠感は英語で“fatigue”であるが,倦怠感の原因について網羅的リストが必要なときに,筆者は表1のような“FATIGUE”というニーモニクス(mnemonics,記憶法)を用いている。
まず,病歴からその時間的経過を聞き取り,「急性」か「慢性」かを評価する。「急性」は数時間~数日単位であり,「慢性」は数カ月~数年単位である。数週単位はボーダーラインとして,両方の可能性を考慮する。
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