日本の地域医療をまじめに考える時期に来ています。本当に切実な問題が,地域医療を守るかかりつけ医の問題です。もう待ったなしです。このまま行くと都市には専門クリニックばかり増え,一方で地方ではクリニック自体がなくなります。多くの人が,生まれ育った街で安心して暮らせなくなります。
体調を崩したときにどこに行けば診てくれるのか,いくつものクリニックを渡り歩くのか…,高齢者ばかりの日本で専門クリニックはどこまで必要なのでしょうか。責任持って,全体をまとめて診てくれる本当のかかりつけ医を日本に増やさないといけません。
2015年に厚生労働省は「保健医療2035提言書」内で,“総合的な診療を行うことができるかかりつけ医のさらなる育成が必須であり,今後10年間程度ですべての地域でこうした総合的な診療を行う医師を配置する体制を構築する”とまとめています。しかし,現実はまったくかけ離れています。あと数年すると国民の1/3が65歳以上になります。2040年には100歳以上の方が今の9万人から30万人になると予想されています。日本のほとんどが高齢者になり,若い方が減り,介護する人もいなくなります。
高齢者は病気をいくつも持っていますし,急な病気も起こします。怪我もしやすいし,認知症も増えます。足が弱って移動もできません。老々介護が多くなり,通院が大変になります。いくつも病院に行けなくなります。だから,通院するクリニックを1つにする必要があります。総合的に何でも診てくれる本当のかかりつけ医を全国に増やさないといけないのです。「いつでも,何でも,誰でもまず診る」マインドを持った医師が,開業しないといけません。しかし,現実的にはそういう医師が育っていないように思うのです。
日本の医学教育があまりにも専門分野に力を入れてきたために,総合診療かかりつけ医が育成されていないのです。地域医療を守るためには,開業医を若返らせ,開業医が力を持つ必要があります。
これから開業を考えている先生方,一緒に地域医療を守りませんか。ものすごくやりがいがありますし,患者さんにも感謝されます。医師は一生勉強する職業です。だから,やりがいがあるのです。総合診療かかりつけ医が全国に拡がれば,地域医療は守られると確信しています。総合診療かかりつけ医としての開業について少しでも興味のある先生は,いつでもご連絡ください。開業のアドバイスなど,お手伝いできると思います。
日本の地域医療を守るのは,我々開業医です。