【日光角化症に対するイミキモド外用治療】
昨今の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の隆盛により,実地医家にとっても腫瘍免疫が非常に身近なものとなった。Toll様受容体(TLR)アゴニストのイミキモド(IMQ)の外用療法は,ICIよりも長い歴史を持ち,かつ病変に直接アクセス可能な皮膚の臓器特性を生かした局所免疫療法である。IMQはウイルスの核酸に類似した構造を持ち,細胞内小胞に局在するTLR7経由のシグナルを活性化することで,Ⅰ型インターフェロンの産生を促し,細胞性免疫を活性化すると考えられている。そうした特性を裏づけるように,5%IMQ外用薬であるベセルナ®の有効性は,ヒト乳頭腫ウイルス感染症である尖圭コンジローマで実証されている1)。
皮膚腫瘍領域におけるIMQ外用の適応症として,有棘細胞癌の早期病変である日光角化症(AK)がある。AKに対しては,1回当たり治療部位(25 cm2までを目安)に最大1包(IMQ 12.5mg)を塗布し,週3回で4週間外用,4週間休薬し,効果不十分の場合はさらにもう1コース追加することが推奨されている。2016年の安田らの後ろ向き研究によると,奏効率は78%であり,有害事象は免疫活性化による発赤等の局所皮膚反応のみであった2)。また,欧州における既存のAKの治療法とIMQ外用治療を比較したネットワークメタアナリシスによると,IMQは,より古くから適応のある外用薬である5-FU軟膏よりも優れるとされる3)。
以上より,IMQ外用は,AK治療の簡便で安全かつ有効な初期治療として妥当な選択肢である。
【文献】
1) Edwards L, et al:Arch Dermatol. 1998;134(1):25-30.
2) 安田正人, 他:西日皮. 2016;78(4):408-13.
3) Vegter S, et al:PLoS One. 2014;9(6):e96829.
【解説】
石塚洋典 筑波大学皮膚科講師