消費税率10%への引上げに伴う診療報酬改定の内容を中央社会保険医療協議会(中医協)が了承し、根本匠厚生労働相に答申したことを受け、日本医師会の松本吉郎常任理事は13日の会見で、患者・国民に向け「今回の診療報酬への上乗せが決して医療機関の利益になるわけではないことを理解してほしい」と強調した。診療報酬と消費税の関係性が分かりにくいとの指摘がある点については「周知の方法を厚労省と検討したい」とした。
2019年10月に実施予定の診療報酬改定では、医療機関の消費税負担分の補塡について、配点方法を精緻化した上で、基本診療料への上乗せを中心に行う。初診料は288点(現行から6点増)、再診料は73点(同1点増)などと決まった。引上げ分には、2016~19年度にかけての医療費の伸び率見込みも加味されている。この点に関して一部の支払側委員は、最終的に了承したものの、6日の中医協総会で説明不足だとして反発していた。また、1月末に開かれた公聴会では「受けた診療行為(個別項目)に直接対応する消費税分を負担するほうが、患者にとって理解しやすい」との声も上がっていた。
こうした経緯を踏まえ、中医協の診療側委員を務める松本氏は会見で、「過去に行われた個別項目への上乗せについては、改定が積み重なることで消滅したり検証不可能になったりして問題になった。広く薄く公平に上乗せすることが望ましいことから、基本診療料に代表して上乗せすることになった」と説明。その上で「受診内容によっては平均より上乗せの大小が生じるケースがありうる。診療報酬で対応する以上、全ての人に対して公平な上乗せはできない」とし、理解を求めた。
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