(埼玉県 I)
【違反の検挙ではなく道路交通安全確保のため】
「取り締まりの対象として考慮されているのか否か」ということですが,道路交通法上,当然,取り締まりの対象となります。
ただし,よく誤解されがちなのですが,交通違反の取り締まりは,違反を検挙することそれ自体を目的とするわけではありません。道路交通の安全の確保のためになされるのであり,交通ルールの順守を促すことがそもそもの目的です。
とりわけ高速道路で速度規制がなされているときなどは,制限速度違反が原因で生ずる危険性は,より重大になることが多いと言えるでしょう(なお,2018年11月30日付読売新聞夕刊が,高速道路工事区域での作業員への危険性の大きさについて指摘しています)。
そのため,規制速度の順守をいかに促すかが,より大きな課題となるわけですが,たとえば,警察車両が規制速度で先導するといった物理的な措置を,すべての場合に十分に講ずることも現実にはなかなかできません。そのため,規制速度を順守しない走行車両が多いという状況が生ずることもあるかもしれません。しかし,それが危険な状態での走行であることには違いないので,特に速度規制がなされているときには,安全運転への心がけが普段以上に求められる,といった意識がドライバーの間に,今以上に広がることが望まれます。
【回答者】
星 周一郎 首都大学東京法学部教授/法学部長