中央社会保険医療協議会総会は20日、今年4月から制度化する医薬品・医療機器の費用対効果評価に関する骨子案を了承した。評価結果は保険償還の判断には使わず、いったん保険収載した上で価格の調整に活用する。薬価・材料価格制度を補完する観点から、革新性が高く財政影響が大きい品目を主な評価対象とする。厚生労働省は今後、評価・分析を行う組織体制の強化を検討する。
評価対象品目は年4回の保険収載の機会に、中医協で選定する。新規収載品では予測市場規模100億円以上、既収載品では市場規模1000億円以上を主な基準とする。適応が稀少な疾患や小児のみである品目は、患者アクセスの制限や開発阻害を避けるため対象から除外する。
対象品目の選定後は、企業による分析、公的な専門組織による分析の順に実施し、臨床や社会の視点も考慮に入れた総合的評価を経て、中医協で最終評価と価格を決め、価格調整(再算定)を行うという流れになる。一連の分析・評価の過程には1年半程度の期間が見込まれる。
費用対効果の分析では、比較対照技術より高い効果を得るのに必要な費用の大小を示す「増分費用効果比」(ICER)を指標に用いる。ICERが大きければ費用対効果が劣っているとして価格を引き下げ、ICERが小さければ費用対効果が優れているとして価格を維持または引き上げる。急激な価格の引下げは安定供給に影響を及ぼす恐れがあるため、価格調整には下げ止め基準を設ける。
骨子案の了承を受け、日本製薬工業協会は同日、「医薬品の研究開発・安定供給を継続していく上で厳しい内容」との受け止めを声明で発表。医薬品の多面的価値の評価を可能とする加算体系の再編などの検討を求めた。