【質問者】
光澤博昭 北海道立子ども総合医療・療育センター リハビリ・栄養部部長/耳鼻咽喉科
【難聴の合併率は高い。なるべく早期の聴力評価,治療の検討が必要】
CHARGE症候群は多発性の先天異常症候群であり,約1/1万の頻度で発生する稀な疾患とされています。1981年にPagonらにより初めて疾患概念として確立され,その後,Oleyらにより目の欠損症(coloboma of the eye),心奇形(heart disease),後鼻孔閉鎖(atresia of the choanae),生育・発達の遅れ(retarded growth and/or development)または中枢神経奇形,生殖器低形成(genital hypoplasia),耳介奇形ないし難聴(ear malformation and/or hearing loss),顔面神経麻痺の主症状のうち,4つ以上の症状を呈するものをCHARGE complexとする分類が提唱されました1)2)。
その後,2004年に原因遺伝子(8番染色体上のCHD7遺伝子のヘテロ変異が主因)が同定され,遺伝子診断も可能になりました。この遺伝子は分化発生に関与すると考えられており,そのほとんどが孤発例ではあるものの,常染色体優性遺伝形式をとるとされています3)。生命予後は,心疾患の重症度,摂食嚥下障害からの誤嚥などの合併症によるとされますが,軽症の場合長期生存も期待できます。
残り731文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する