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(1)輸血による副作用の診断と対応[特集:輸血による副作用の種類と対応]

No.4957 (2019年04月27日発行) P.18

藤井康彦 (山口大学医学部附属病院輸血部准教授)

登録日: 2019-04-29

最終更新日: 2019-04-24

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血液製剤の安全性は向上しているが,医療従事者は残存する血液製剤の危険性を認識し,適正な使用を推進する必要がある

輸血後にバイタルサインの変化や新たな症状の出現があれば,いずれも輸血を中断し,患者の心・肺・腎機能を評価する

1℃以上の体温上昇,悪寒・戦慄,呼吸困難,低酸素血症,頻脈,血圧低下,背部痛・胸痛などは重篤な輸血副作用の前兆の可能性があるため,輸血中断後に同一製剤の再投与を行ってはならない

1. 輸血副作用への対応:基本となる事項

輸血感染症を含めた輸血副作用の発生頻度は諸外国の血液事業の状況により異なる部分がある。わが国の血液製剤の安全性は過去の時代に比べ格段に向上しており,感染性輸血副作用の頻度はきわめて少なくなっている。国内の輸血副作用の発生頻度について表1にまとめた1)~5)

 

輸血副作用は輸血開始後のバイタルサインの変化や新たな臨床症状の出現として看護師から医師に報告される。輸血副作用の発生時の対応における主要なバイタルサインの変化や新たな症状を表2にまとめた。輸血後にバイタルサインの変化や新たな症状の出現があれば,いずれも輸血を中断し,生理食塩液により静脈ラインを確保し,患者の心・肺・腎機能を評価し,対症的な支持療法を行う。血液製剤のラベルと適合票,患者名,患者IDの再照合を行い,輸血部門に必要な追加検査の依頼を行う。これらの初期対応はいずれの輸血副作用でも同様に行われなければならない。1℃以上の体温上昇(以下,発熱),悪寒・戦慄,呼吸困難,低酸素血症,頻脈,血圧低下,背部痛・胸痛などが生じると,ABO不適合輸血,輸血による細菌感染症などの重篤な輸血副作用の前兆の可能性があるため,輸血中断後に同一製剤の再投与を行ってはならない5)

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