性機能不全群の主要な特徴1)は,性的な刺激に反応できないこと,または性的な行為において痛みを感じることである。機能不全は通常,性行為と関連した主観的な喜びまたは欲求の障害によって,または,客観的な遂行能力によって定義することができる。
発症時期が病因や介入方法の違いを示唆することがある。
生来型:最初の性的体験から性の問題が存在していたものを示す。
獲得型:性機能不全が比較的正常な性機能の期間の後に発現する性障害に適応される。
全般型:性的困難がある特定の刺激,状況,または相手に限られていないものを意味する。
状況型:性的困難がある特定の刺激,状況,または相手に起こるものを意味している。
DSM-52)において性機能不全は次のように分類される。カプラン臨床精神医学テキスト1)より,その概要を示す。
男性の性欲低下障害は,少なくとも6カ月間の性的な空想と性行動に対する欲求の不足または欠如によって特徴づけられる。
女性の性的関心・興奮障害で,性的関心(ないし欲求)と興奮が一組になって機能不全カテゴリーに組み込まれるのは,女性は興奮の感情と同期して,あるいは興奮の感情の始まりに引き続いて,欲求を体験することが多いからである。
男性の勃起障害は,性行為中に勃起することが困難,性行為を終了するまで勃起を維持できない,勃起時の硬さの著しい減少,のうち少なくとも1つがみられる。
女性オルガズム障害は,しばしば女性オルガズム抑制もしくは無オルガズム症とも呼ばれ,正常な性的興奮相に続くオルガズムの遅延または欠如が反復的または持続的に存在することであり,簡潔に言えば自慰行為や性交によってオルガズムに達しないことである。
射精遅延は性交中に射精に至ることが非常に難しい。この問題は自慰行為では稀で,パートナーとの性行為において現れる。生来型射精遅延の男性は,パートナーとの性行為中に射精した経験がない。獲得型は以前に正常に機能していたのに,途中から障害が出現した場合である。
早漏の場合,常にないししばしば,男性は自分が望む前にオルガズムに達し射精する。男性が挿入後おおむね1分以内に射精するのが常である場合に診断される。
性器-骨盤痛・挿入障害における性交時疼痛は性交前もしくは最中もしくは後に男性においても女性においても起こりうる。反復的もしくは持続的な生殖器の疼痛である。男性より女性に多く起こりうる。腟痙攣と関連し,もしくは同時に起こる。腟痙攣は,骨盤底筋肉の不随意な引き締まりまたは痙攣による腟の外側1/3の収縮である。腟痙攣は陰茎の挿入と性交の障害になる。この反応が婦人科診察中に起こる場合があり,腟の不随意な収縮が腟に検鏡を入れることを妨げる。
物質・医薬品誘発性機能不全2)は物質中毒中またはその直後,または医薬品からの離脱または曝露の後に生じる。症状を引き起こすのは,アルコール,オピオイド,鎮静剤,睡眠薬,抗不安薬,アンフェタミン,コカインなどである。
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